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 謎の奴隷商について、セナは考えるのをやめた。

目の前にある現実、無料で手に入れた奴隷に向き合う。


「ベルモット、ステータス弄るぞ。」

「はい、どうぞ。」


 ベルモットの手を掴み、ステータスを操る。


『ベルモット・カナメ 14歳 女

ステータス【250】+【50】

パッシブスキル

『清潔』レベル4

『奴隷紋』レベル10

+『奉仕』レベル2

+『剛腕』レベル2

+『健脚』レベル1

アクティブスキル

『奉仕』レベル4

『水魔法』レベル3

+『火魔法』レベル2

+『風魔法』レベル2

+『地魔法』レベル2

+『闇魔法』レベル1

+『光魔法』レベル3

+『治魔法』レベル1

固有スキル

【神の手】マッサージの極致であり、手先の器用さが格段に強化される。』


 魔法系はあらかた習得させた。

これで、ユゥリの世話は楽だろう。


 ベルモットに自分のスキルについて説明して、ユゥリの世話と、魔法の練習を命じて外へ出る。


「いや意味がわからんわ。」


◇◆◇


 セナは1人で冒険者ギルドに入った。

前の街とはまるで違う、活気に溢れた景色。

 ざっと鑑定してみた結果も、前の街より高水準。


平均的に1.5倍くらいの感覚。

 触れてステータスをちょろっと奪うか、スキルを奪うか。

『鑑定』スキル持ちからはそんなに奪えない。簡単にステータスを奪ったのがバレる。

 そういう確率はできるだけ下げたい。


どうしたものかと考えつつ、今のところは手をつけない方向で行く。


依頼書を貼ってある掲示板を発見し、寄ってみる。

 ちなみに、前の街にはそういうのは無かった。


「……!これだ。」


 セナが手を伸ばして取ったのは『盗賊の討伐』依頼。

盗賊であれば殺しても構わない。それに、殺してしまえばステータスの強奪もバレない。

 報酬も目的の10人組を倒せば五万エル、悪くない。


「えっと、セナさんはEランクですよね?盗賊の討伐はCランクですので、最低でもDランクでないと受けられません。」

「……えぇ。」

「まずはDランクの依頼を数回クリアして昇級しましょう。」

「……わかりました。」


 依頼書を元の場所に戻して、Dランクの依頼を探す。

面白そうなのは『ウルフの討伐』くらい。


 セナは少し考えてから、『ウルフの討伐』を受けることにした。


討伐のための道程、戦闘シーンカットォ!!


 ウルフだろうと、ステータスを奪えばこちらのもの。

 デコピンで死ぬ犬っころに何の恐怖が湧く。

殺したウルフの素材を剥ぎ取って、おニューの皮袋に入れる。


 毛皮と牙だけだから、かなり余裕がある。

10体分の素材を詰めたら、ギルドの方へ戻る。


その間、実に1時間!!


「はい、ちゃんと戦闘ができる方みたいですね。Eランクなのにいきなり『盗賊の討伐』なんて受けようとしたからびっくりしました。」


 クスクスと笑う受付嬢に悪意はない。

本当に可笑しくて笑ってる。


「換金終わりました。5600エルですね。」


ゴブリンよりウルフが安いわけじゃない。

ゴブリンは耳を200体分で5万、つまり一体じゃ250エル。

それに対してウルフは素材全部を10体で5600、一体で560エル。

 初心者向けの魔物はこれくらいの相場。


魔物のランクは冒険者ランクとそう変わらない。

Eが下でSまである。

 が、魔物は群で活動する時がある。

その場合は。10体を超えた段階で次のランクとして扱われる。

 つまり、Eランクのゴブリン10体だと、Dランクの難易度ということ。


「素材の剥ぎ取り技能、『解体』は待っていませんか?その剣で剥ぎ取ったのであれば器用だとは思いますけど、専門の人を連れた方がいいと思いますよ?」

「あ、あぁ、そうですね。考えておきます。はは。」

「またウルフの討伐をしますか?この調子なら明日にでもDランクになれますよ。頑張ってくださいね。」

「今日中にDランクになりたいって言ったらどうします?」

「ぇ……そうですね。ウルフの討伐ならあと4回、つまり40匹の納品があれば。でも、あまり無茶をしてはいけませんよ?」


 沈黙の後、40匹分のウルフ素材を集めると言って、セナはギルドから出て行った。


 あれ以上、あの場にいたくなかった。



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