1 聖女終わりました
拙作がお目に止まり光栄です。これからちょこちょこ書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。良いねとか評価とかブックマークとかいただけたら飛び上がるほど嬉しいです。
終わった。終わったわ。
目の前にはぐちゃぐちゃの魔物。
とても強くて、魔王とも言うべき相手だった。
でも、これで終わり。
私は10歳から聖女となり、この鏡から来る大小さまざまな魔物の侵入を阻止し続けた。
そして、今日この魔物討伐を持って力を使い尽くした。
聖女の力の残量を表す聖具は0を示している。交代の時が来たのだ。ありがたい事に次の聖女は既に決まっている。
「ルーア様、お見事でした。」
次の聖女である少女オリビアは深々と頭を下げる。良く訓練も出来ているし、私が年単位で教えたからしっかりと魔物の知識ももっている。うん、後のことは安心できるわ。
討伐完了の知らせに、神官達が集まってきて、私の労を労う。私は静かに聖具を掲げた。皆が息を呑む。
「ああ、とうとうこの時が……」
「ああ、ルーア様……」
「ついにオリビア様が聖女になられるのか……」
オリビアは、取り乱すこともない。さすが我が弟子。ちなみに彼女は18歳、私は17歳だ。年下なのに偉そうでごめんね。
私の時は、見習いになった直後に前聖女と次期聖女になるはずの人が死亡してしまい大混乱だった。
その時私は10歳。碌に訓練も受けないまま鏡の前に立たされたっけ。10歳までは恵まれた人生だったのに。
私は皆に、私は引退するが、これから頑張れ的な演説をした。皆涙を流して聞いてくれたわ。それから惜しまれながら部屋に戻る。
最後の力を振り絞った恩恵なのか噴き出していた血は止まり、身体中どこも痛くない。
「痛くないけど、このままなのよね。」
鏡を見る。長年の戦闘で顔はボコボコ。元々の色は白く、青い目とピンクの唇の、なかなかに整っていた顔は今、原型を留めていない。長年の鬱血により、顔の色は紫だし、鼻と指はひん曲がり、体には傷跡がたっぷり。おまけに10歳から普通の教育も受けていない世間知らず。
「ルーア様、お食事をお持ちしました。」
侍女のエデカが入ってくる。食事は私の好物ばかりだ。
「ありがとう。美味しそうね。」
「ええ、ご引退のお祝いですわ。今まで本当にお疲れ様でした。これからはご結婚されて幸せな人生ですわね。」
エデカはにっこり微笑む。そりゃ、貴方みたいに綺麗な顔なら私もそう思うわよ。
「結婚相手は誰?私みたいな顔でも聖女の血が欲しい相手はいるかしら?」
「あら、聖女様は大抵、ルーア様のような顔になられますわ。名誉の負傷ですもの。ルーア様にも早速、たくさん縁談がきましたのよ。」
「え?そうなの??」
早いわね。まあ、聖女に在位中は結婚なんて御法度だから、引退するの待ち侘びてたのね。ちょっと嬉しいな。
「はい。でも、エル王国からの圧力で他の方々はすぐ取り下げられましたわ。」
「え?」
「ですのでカイリー王子とご結婚ですわね。」
「カイリーと!?」
私はドキドキドキドキと胸が高鳴った。
素敵、なんて素敵なの。
実は私とカイリーはもともと婚約していた。大国エル王国に比べて田舎国家だけど、私も元は王女なのよ。カイリーは国王が養子にするまでは王兄の子供だった。ややこしいけど、今のエル王国の王様は優秀さを見込まれて、兄を差し置いて王になったの。でも、兄弟仲は良くて王は自分は結婚しないと決断して、兄の子に王位を返すと宣言したの。
私がカイリーと婚約してたのはその前だから、大国の王族と小国の王女の縁談て事でそんなに違和感はなかった。でも、私は聖女に選ばれて両国話し合いの結果、死亡扱いとなった。
引き裂かれた婚約者が、時を経てまた結ばれる。ああ、なんて素敵!!私とカイリーは赤い糸で結ばれてたのよ!!
私は美味しく夕食をいただき、大神官に呼ばれてドキドキしながら話を聞いた。
そして私に絶望がやってきた。
お読みいただきありがとうございます。




