第26話「正義の味方みたいなことをしてみよう」
昼間に来たカフェは明かりがついていた。
俺が中に入ろうと手を伸ばすと、
「君たち、今入るのは止めておきな」
俺の肩に触れ、道具屋のおじさんらしき人が首を振りながら言った。
「どうしてですか?」
「今、Bランクの2人組が中に入ったんだ。美人の彼女連れて入ったら危険だ」
「Bランクね……」
服を着替えて、バッヂはポケットに入れたんだった。
「大丈夫です。俺、Sランクなんで」
ドアを引き、カフェの中へ。
ウエイトレスさんにおっさん2人組がキスをせがんでいるところだった。
「ごめんなさい……できません」
と、顔を背け何とか口づけを避けようと必死に抵抗している。
「こっちは今取り込み中だ。引き返せ」
夢中でこっちを見ようともしない。
何がランク付けだよ。Bランクでもやりたい放題じゃないか。
「取り込み中、笑わせんなよ」
「あん?」
俺の喧嘩腰の言葉を聞いて、二人はウエイトレスさんから手を離し、ようやくこっちを見た。
「もてない男は嫌だねえ。力づくで欲望満たそうとしてんだから、かっこわりいな。おっさんたち」
つけているバッジは青か。Bランクは青ね。
「おもしれえガキだ。大人に喧嘩売る度胸はたいしたもんだけどな、ここじゃ強さがモノ言うんだよ。お~お~、可愛い彼女連れてるじゃねえか。よこせや」
クレアは俺の腕をギュと握る。
「はあ~、ほんと馬鹿だな。大切な子をあげるわけがないだろ。たしかここじゃランク上位者に従うんだっけな?」
「だからお前は俺たちに……」
俺は親指と人差し指で挟んだ小さな金色バッチを前に突き出す。
「これが目に入らねえのか!」
「ゴールドバッヂ!」
「たかがBランクがなにしてんだよ! あんたら邪魔だから今すぐこの街から出ていけ」
「おい、ビビることなんてないぜ。どうせ盗んだんだろ」
「あ~、俺そういうこと大っ嫌いなんだよね」
「おい、俺らがそのバッジいただけばもっとすげえこと出来るんじゃね」
「クレア、ちょっと下がってて。こいつら悪者だ。我慢できん」
「うんっ……」
クレアは絡めていた腕を解き、2、3歩後ろに後退した。
「来いよ。それともこっちから行った方がいい?」
2人は勢いよく向かってくる。
右、左、右。止まって見えるような拳。
「おせえよ」
みぞおちに少し強い蹴りを浴びせて、カウンター席に激突させる。
「てめえ」
もう一人は剣を抜いて向かってくる。
おっ、こっちの方がつええな。若干だけど。
太刀筋をよけた瞬間に拳を握って、右頬を思いっきり殴りつけた。さっきの男が倒れていたところに仲良く飛ばし、こっちも気絶させる。
「よわっ」
思わず本音が出てしまった。
やっぱこの街嫌いだな。




