第25話「クレアタイムスタート」
じゃんけんに勝利したマアニャが俺の隣に可愛い顔で気持ちよさそうにしているのを見て、悪戯をしたい衝動を何とか抑えベッドから出る。
そんなに隣で添い寝したかったとは光栄の極みだぜ。
ホテルへ戻る途中に買った黒のズボンと新しい白いシャツ。その上に濃い青のジャケットに袖を通す。
3人が召使いの服装より、こっちの方がカッコいいと言うことでコーデしてくれた服装だ。
2本の剣を装着して眠っている3人を起こさない様に静かにドアを閉めてスイートルームを出た。
「さてと……」
3時間ぐっすり寝て、時刻は午前3時。
無警戒での3時間睡眠で十分体力は回復している。マアニャがマッサージしてくれたし。
「あの呑み込みの早い二人なら数日もあれば、基本レベルは申し分ないところまで行けるはずだ。闇の騎士団とかの情報をもうちょい集めておかないと」
昼間と夜で聞き出せる情報に違いがあるかもだし。
エレベーターに乗り込み、1階のボタンを押し、閉じるボタンを押した時だ。
「待って、待って!」
聞き覚えのあるミラ家の元メイドさんの声が届く。
「はあ、はあ、よかった。間に合ったよ」
「クレア……なんだよ、起きてたのか?」
「物音が微かにしたから、見たら優君が着替え始めてて、どこか行くのかなと思って、急いで後をつけてきたの」
よくメイド服を着る時間があったなと思う。そういえばクレアは着替えるのが早いんだよな。
「大丈夫かよ、短時間しか寝てないだろ?」
「熟睡したから平気だよ。どこ行くのかわかんないけど、一緒に居させてよ。クレアだけ優君との時間短いよ」
「戻れなんて言わないけど、危ないことはないと思うし……いちおう傍を離れるなよ」
「うんっ」
自然と腕を絡められる。
いかん、胸がちょうど肘の部分に当たるじゃないか。
エレベーターは1階で開き、俺たちはフロントを横切り外へ。
「それでどこへ? ゴールドバッヂでいけないことを……」
「違うよ。闇の騎士団のこととかを詳しく聞いておこうかと」
真夜中なので、当たり前だけど人通りは少ない。
「だと思ったよ」
疑ってついてきたんじゃないよね?
「ソニアちゃんの先生ぶりはどうだった? 言ってたとおりで厳しい?」
「うんうん、すごい優しかった。クレアが少しすりむいてもすぐ治してくれるし」
回復魔法も覚えているのか……そういや大魔導士って名乗っていたっけ。ステータス値見なくても、かなり強いのは明白だな。
「ちょっとステータス見せてね」
クレアに人差し指を近づけ、ウインドウを眺める。
「どう? クレア少しは強くなってる?」
「力と素早さが上昇してる。武術の鍛錬のおかげだ。この調子なら、外の魔物くらいは楽に戦えるよ。俺が剣も教えていくし」
「お願いします、優君先生」
甘えるようにクレアは俺にもたれ掛かってくる。
「おほん……あの二人に夜に出かけたことは内緒にしておいてね。ぐっすり寝てたから起きることはないと思う。特にミイニャは寝つきが良くて、なかなか起きないから」
「さすが一緒に暮らしていただけあるなぁ……じゃあ今だけ出来る限り甘えさせてもらおう。クレアタイムスタートね」
「うん……」
出来れば俺の方がクレアに甘えたいんだけどな……




