第20話「訓練開始」
「なんか倒すのが可哀そうなだな」
「油断しちゃダメよ。本来、本の中に転移することは、高等訓練。見た目は小さくても……」
赤鬼ちゃんはものすごいスピードで横切っていく。
なるほどね。
「あれ捉えられる?」
「問題ない。こりゃあいい。たしかにいい訓練になりそうだ。だけど、俺1人が強くなってもここではあんまり意味がない。あくまでマアニャの基礎を上げる場所だからな。だから時間は多少かかるかもしれないけど……手を繋いでくれ」
「なによ、そんなにあたしと恋人繋ぎしたいの」
照てるなよ……そんな顔でみられると、こっちまで恥ずかしくなってしまう。
「したいけど、意味があるんだよ。今はデートじゃないからな」
指を絡ませ、俺たちはいわゆる恋人繋ぎを。
それを待ってくれない、小さな赤い鬼は小さなこん棒を振り向かってくる。
「いいか。これからあいつの攻撃を避けまくる。手を引いて絶対に怪我なんてさせないようにするから、気配を読むんだ。最初は当てずっぽうでも何でもいいから。とにかく気配だけ読むことに集中。視覚から入る情報も邪魔だから目を閉じてもらう」
「えっ~」
マアニャが目を閉じる前に一度左に引っ張り、一撃を避ける。
「薄暗闇だし、閉じてもそうは変わんないよ。俺を信じて感覚を研ぎ澄ませて。基礎能力はそれで上げられる。滞在していられる時間は、ミイニャも控えてるから1時間くらいだな。どうやったらこの中から出られるんだ?」
「台座に置いた書を持つか、もしくはページごとに出口がどっかにあるはずよ」
「じゃあここは10分。1ページずつ10分単位で訓練していく。時間になったら俺が倒すからさ」
上手く行けば回避能力、判断力、洞察力に観察力、戦闘能力すべて飛躍させられる。
「わかったわ。絶対に手、離さないでよ」
当たり前だ。ずっとだって繋いでたっていいぜ。
す~っとマアニャは目を閉じた。
「左から来てる。はじめは声に出している位置を教えるから」
「うんっ。なんかちょっとドキドキするわね」
それはこっちのセリフだぜ。ツンツンデレのマアニャさん。




