第19話「また塞がれて、目を覚ましたら本の中」
「優斗、優斗ってば……もう、しょうがないなあ」
むにゅと柔らかい感触が胸のあたりに……いい匂いが鼻を刺激してきて、極めつけは口を物凄い柔らかい何かで塞がれた。
「んっ?」
俺は目を開けると同時に、上に乗っているマアニャのお尻にお触りする。
「ちょっと、目覚めたと同時にいきなり触んないでよね!」
「そっちこそ、気を失っている間になにしてんだよ!」
「してほしいと思ってたくせに! 優斗があたしを一番好きなのは知ってるんだからね。ねえ、二人きりよ。もう一回してみる?」
そんなことまたしたら、他のことが考えられなくなってしまう。
「ここが本の中……顔近いな。一度で十分元気をもらったよ。遊びに来たんじゃないだろ。ここの説明よろしく」
マアニャは口を尖らせ、いやいや離れる。
俺は起き上がり、手を握って感触をかしかめた。
(なるほど。転移ね……)
「マアニャがいちゃつきたいって言うんなら、あとで考えるから。今は訓練に集中しろよ」
「優斗がどうしてもあたしとキスしたいと思ってたときは、その時はちゃんと言いなさいよ」
「はい……随分と薄暗いな、この中」
「本の中だからね。ここは1ページ目。炎の下級魔法ファイラァが記された場所」
最下級魔法か。
「なあ、どうやったら覚えられるの?」
「ソニアちゃんが記したなら、あとは魔法力さえあれば……ちょっとじっとしてて」
ぎゅっと後ろから抱きしめられる。
おお、胸が……何だこのラッキーな展開は……
「なにしてんの?」
「ここだわ!」
今度は突然に背中を正拳突きされ、前のめりに倒れそうなところを何とか踏ん張った。
「なにすんだよ? あれ……」
体が白いオーラで包まれていて、しばらくするとお腹の当たりに吸い込まれていった。
「魔法力のツボを刺激したわ。眠っている魔法力を起こしてあげたの。これあたしにしか出来ないんだから感謝しなさいよ」
「先に説明してくれよな。てことは、これで俺も魔法を」
「まだよ。放出するにはファイラァの知識が必要。ほら、あれが持ってるから倒せば手に出来るわ」
「あれ?」
マアニャの指さした先には小さな赤鬼が一匹いたのでした。




