第18話「思い出し……外れ不幸スキル【すれ違い】を進化させろ」
視界を塞がれていると言うことは、暗闇の世界に居るのと一緒だ。
俺はほぼその世界で1年半も過ごしてきた。
最初は向かってくる木刀に何の反応も示せず、襲ってくる魔物に抵抗も出来ず瀕死。
1ヶ月が過ぎ、3ヶ月が経過し、徐々に傷跡も少なくなっていき、半年たつ頃には敵意と殺気を察知できるようになり、剣一本で魔物を粉砕出来るようになった。
外れ不幸スキル「すれ違い」は、進化させなければ自分だけじゃなく、周りも不幸にするドン引き最悪最低スキル。
いつまで経っても進化しないスキルで、進化させるための最終手段。お姉さんの幸せ幸運スキルを借りて、自ら進化させようっていう強引なやり方。
お姉さんの貸してくれた幸せスキルによって、物凄い情報量(場面)が伝達されてきた。女の子とイチャイチャラブラブ、混浴……さらにキスに至るまで……
だが、すぐにそれらは闇に覆われていく。
(打ち負かすって言ったって……)
幸せってなんだ? ……お金持ち、家族、好きな子、そう好きな子だ!
イメージしやすいのは……わからねえけど、イチャラブ妄想なら誰にも負けねえぞ!
俺の頭の中は全部まだ見ぬその子のことで満タンに。ハート祭り!
すると、闇は俺をも覆いつくそうと向かってくる。
「来いよ、外れ不幸スキル。ねじ伏せて、どっちが強いかわからせちゃる」
左右の肩から出ている剣の柄に触れ同時に抜き、すでに覚醒しているおまけスキル【二刀流】を発動させる。
「邪魔するんじゃねえよ! そのままだと俺はそのスキル捨てるぞ。いい加減進化しろ! 俺は幸せになりたいんだ、いやなるんだ」
二刀流で闇を切り刻んでいくと、切れ端から光が差し込んできて、同時に頭にまた幸せなフィルムが流れ込んでくる。
「もう少し! ギアをもう一つ上げてやる。うおぉ!」
両手に握る剣を少し強く握り、さらに剣速を上げて行ったんだ。
☆ ★ ☆
「あれ……」
目を開けると、暗闇ではなく青空が見える。
「ふっ、よくやったな。久しぶりにぐっすり眠れたか? まっ、今日だけは褒めてやる。不幸スキル【すれ違い】は【引き寄せ】に進化を遂げたぜ」
「……目隠しが……」
いつも強制的にさせられているそれがない。
「もう必要ねえよ。最悪不幸スキルはお前、自らの手で進化させた。視線を合わせたところであたしが不幸になることはない」
見ていいんだよな……1年半もいたぶりやがって。その面、拝ませてもらうぞ。




