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第9話「連れに声を掛けられることにムカッとします」

「この街、気に入らないな」


「この街、気に入らないわ」


 俺とマアニャは同時に似たような言葉を吐き、顔を見合わせた。


「お姉ちゃんがカスラニクスに行こうって言いだしたのよ……それにしても優斗君はさすがです。優斗君が居なければ私たちはここに滞在など出来なかったんじゃ……」


「マアニャ、お前ここ来たことあるんじゃないのか?」


「小さいころだしあんまり覚えてないのよ。ただ強さでランク付けなんてしてなかったはずだけど……とにかく優斗のおかげで助かったのは確かだわ。ありがとう」


「優君、クレアからもお礼を。ありがとう」


 可愛い美少女から改まってお礼を言われると照れてしまうな。


 俺たちは噴水広場を通り、そこでこの街の地図を目にする。

 やはり街全体の面積はアイルコットンよりも大きいな。武器屋もあるし、3人の装備も整えられるかもしれないな。


「マアニャ、どこなら短期間で基本レベル上げられるんだよ?」


「えっ~とねぇ……たしかここ」


 マアニャは町の地図上にある左端の(ほこら)を指さす。


「お姉ちゃん、根拠はあるんでしょうね?」


「うん。小さいころお父さんとお母さんが夜に抜け出して、そこの祠で何かしていたの見たのよ。多分それは書物が鍵。魔法使いの書も他の書も大量に持ってきたし」


「まさか本の中に転移する気?」


「そのまさかよ。魔法使いや僧侶にとって、それが一番能力上げに適した方法なのはあなただって知ってるでしょ」


「でもあの中って、物凄い危険だからってお母さんにもお父さんにも小さいころ散々言われてきたよ」


「そりゃあ一人なら危険でしょ。ここにいるじゃない。強いナイト君が」


「なるほど。優斗君が居てくれれば確かに」


 頼りにされているのは嬉しいことだ。


「とりあえずその祠よりもまず情報を集めておきたいんだけど。強者を求めているのも気にかかるし、町の中を回りながら聞き込みと行こうぜ」


「おう」


 美女三人は元気いっぱいに返事をした。


 なんかパーティって感じだ。とりあえずこのカスラニクスまで何事もなく着けて俺はホッとしている。


 ☆ ★ ☆


 俺たちがゆっくりと街を周っていると、男どもの視線が美女3名に注がれるようになり、そして次第に声を掛けられるようになった。


「へい、彼女たち。俺と一晩過ごそうぜ。金ならたんまり出すぜえ」


 数名に声を掛けられていたが、どいつもこいつも内容的にはまあこんな感じで、

 そのたびに俺は殺意を込めて、睨みを利かせる。


「おっ、なんだてめえは」


 と、相手は向かってくるのだが、俺が付けているゴールドバッヂを見ると後ずさり逃げて行った。


「クレアは、優君に守ってもらってばっかりです」


「あたしたちがナンパされたり、誘われたりするのを聞くだけで、はらわた煮えくりかえってるんじゃない」


「優斗君、大丈夫ですか? なんだか顔色が良くありませんけど……」


「いや、なぜ俺の連れに平気で声を掛けてくるのか理解できない。片っ端から倒していいかな?」


「いいと思います。やっつけちゃいましょう。そのゴールドバッジは正義の証、象徴ですよ」


「やはりそうか……ていうかさ、ゴールド付けてる人、いなくないか?」


「優斗君がこの街の滞在者でナンバーワンです。さすがは私の旦那様です」


「なにが旦那様よ! ノリよく話してるのはいいけどさ、喉乾いたわ。カフェにでも行きましょうよ。情報収集はカフェで」


 カフェと言う言葉に俺とミイニャは顔を見合わせた。


 アイルコットンで短い期間とはいえ、こちらもカフェを営んでいたんでね。味や雰囲気にはうるさいぜ。


「よし行こうぜ、カフェ」

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