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第5話「初心者クレアを鍛えます」

 クレア一人を付きっきりで教えればいいだろうと思ったが甘かった。

 ツンツンデレのマアニャが俺に魔法を教えてあげると言いだし、ラブミイニャは一緒に補助魔法と回復魔法を覚えましょうと言ってきやがる。


 仕方ないので、1時間単位でローテを組むことにし、順番になるまで口を控えることと邪魔するのは禁止という取り決めをしてようやく、


「それじゃあ剣術を教えるね」


「はい、先生!」

 クレアは元気よく答え、右手を上げる。


「まあ戦士と言っても、俺も召使いの服装のままだし、防具とか後で考えればいいとして……まずは振っていこうか」


「振る!」

 いやいやとクレアは途端に拒否反応を。


「いや剣だよ、振るのは。とりあえず木の棒」


 アイルコットンを出る前に武器屋で買っておいた木の棒をクレアに渡す。


「女の子だから俺の装備している剣よりもあとで軽いタイプを探すけど、まずは攻撃スタイルを覚えてくれ。えっと……」


 俺は剣を抜いて、


「振り下ろし」

 片手持ちで剣を上から下に振り下ろす。


「で、返し」

 今度はしたから上へ。


「あと薙ぎ払い」

 右から左に剣を横に切る。


「基本はこの3つで、振り下ろしを途中で止めたり、連続で合わせたりはするけど、最初は基本をしっかりやって徐々に慣れて行った方がいいと思う……俺は片手でやったけど、両手で振り下ろせば一撃の威力を上げられるから」


「モチベーションを上げるために、優君先生の二刀流が見たいです!」


「えっ、二刀流……あんま参考にはならないと思うけど。ちょうど魔物が来たからよく見てて。今から俺が戦闘中は超観察ね」


「うん」


 二刀流使うまでもないんだけど、ご要望なら……

 左右同時に抜いて、3匹の魔物に突進していく。左と真ん中の魔物を左から右の薙ぎ払いで、一番右を右から左の薙ぎ払いで同時消滅させ剣を戻し、元の位置へと戻る。


「カッコいいなあ」


 そんなうっとり目で見つめられるようなことはないと思うけど。


「二刀流は覚醒スキルだから。まあ利き手じゃない方の手も鍛えられるなら、可能だとは思うけど……そうだ!」


 俺はクレアに近づき、マアニャとミイニャには聞こえないくらい声を落とし、


「クレアのユニークスキルって進化してるの?」


「うんうん、進化ってなに?」


 逆に尋ねられる。


「簡単に言うと、スキルは進化、覚醒って段階を踏んでより強力なモノにできるんだけど……」


 それをするのに、俺は2年も地獄を味わっているのだが。


「まっ、いいや。スキルは後回しで、とりあえず剣術の方を」


☆ ★ ☆


 15分くらい素振りを見たが、筋がいい。1番いいと思うのはフィニィシュ時にぐいっと押し込んでいるところだ。


 そして「えいっ」って掛け声が可愛いすぎるぜ。


「あんまり直すところが思いつかないな。しいて言うならもうちょっと腰を入れた方がいいかも」


「優君先生、腰ってどんなふうに?」


「う~ん、なんていうか特に薙ぎ払いの時なんだけど、ここに力を入れるイメージで」


 ぴたっとお尻に軽く触れる。


「ひゃん!」


「あっ、ごめん! わざとじゃないから。熱意の表れで」


 ギロリと近くを歩く双子姉妹二人にものすごく睨まれた。いや、まじでわざとじゃないし。


「もうお触りは、出来れば二人きりの時が……」


「いや、あのね、ほんとに薙ぎ払いの時は今のとこに力を込めるイメージと言うか……もともと剣を振る力より、速度の方がアドバンテージを上と考えてほしいんだ。俺やあのバニア団長もあんまり筋肉質じゃないだろ。余計な筋肉や体重は速度を落とす。それは反応も鈍らすってことなんだ」


「じゃあ素振りも速く鋭く振る練習だね」


「そっ。クレアは頭もいいからすぐ実践に入れそうだ。あんまり頑張りすぎなくていいよ。頑張り屋さんだからな。やり過ぎてたら俺がストップかけるから」


「優君……名前ピッタリだよね。優しい」


「厳しくはないと思うぜ。疲れたら言ってね」


 俺は普通に指導しているのに、ちょくちょくギロリ、キラリと鋭く切るような視線を感じるがいちいち反応せず集中して教え込み、すぐに1時間は経過した。


 まだカスラニクス見えてこないのか?

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