第4話「ポニーテールにメロメロメロ」
「じゃあクレア、剣術と武術も同時に教えて行こうと思うけど、いつも通りの関係で良いからな。変に意識しなくて……」
「意識はしてるよ、常に。クレアの瞳にはいつも優君がいるよ」
ありがとうございます! メイド様。
「う~ん……」
「なに、優君。そんなに見つめられると照れちゃうよ……」
「ポニテ似合いそうだなって……」
ドカ、ドカっと、左右から裏拳を双子姉妹に入れられ、ぐふっと悶え俺はお腹を押さえる。
「いてえな、なぜ攻撃されなきゃいけない……二人ともちゃんと真面目にやれよな」
「あんたにそっくり返すわ、そのセリフ。なに見惚れてんの、馬鹿じゃない」
「なぜクレアにだけ手取り足取り、贔屓ですか!」
いちいち突っ込まれてたら、訓練にならん。
「あ~、もう……じっとしてろ!」
前方から向かってきた狼の群れを素早く薙ぎ払う。
「守りながら教えていくのは結構しんどいんだ! ご褒美にクレアのポニテくらい拝ませてくれたっていいだろ!」
「ポニテ好きなの。しょうがないなあ……」
マアニャは慣れた手つきで後ろ髪をまとめ(その仕草が異様に色っぽい)、ポニーテールに。
赤髪のポニーテールマアニャ……いかす!
綺麗な首元してるなあ。
「やべぇ……超可愛い……」
思わず心の声が口から出てしまう。
「あらそう。ならしばらくこのままでいてあげるわ」
滅茶苦茶機嫌よくなってませんか? 口笛とか吹き出しそうじゃないか。
褒めたらもっと色々デレてくれたりして……
「クレアもポニテになる。マアニャ様、やっていただけませんか?」
「OK。近くに……もうミラ家メイド辞めたんだし、様付けなくていいわよ。あたしはクレアともっと仲良くなりたいしね」
「えっ、そうですか。でも習慣になっていて抜けるかな」
クレアの黒髪が今まとめられ、垂らされる。
普段と違う髪型ということもあり、新鮮でより目立ち、なにより可愛い。元から可愛いんだけどな。たまにはイメチェンもいいなあ。
やべえ、こちらも超似合う。これも覚醒スキルの恩恵かも。幸せだ。間違いなく!
マアニャ、クレアのポニテをこの目にしているだけで幸せ。
せっかくだからお写真を撮っておこうかな。
パシャとシャッターを切ると、その瞬間、写真慣れしているように最高の笑顔を作ってくれた。やべえ、永久保存しないと。
「いいぞクレア。髪まとめてた方が訓練の邪魔にならないからな」
クイ、クイっと左の袖をミイニャに引っ張られる。
「どうした?」
「ショート髪の私に対してのいじめですか! ポニテに出来ません!」
その瞳には涙を貯めこみ、訴えてくる。
泣きそうな顔をするなよ。いつものまにモフモフ帽子脱いだんだ?
「たぶんミイニャくらいの長さなら出来ると思うぞ。ショートのポニテ見たことあるし……」
ん、俺は一体どこでショートのポニテを?
「えっ……お姉ちゃん、ヘルプ!」
「あんたさ、ロングにしたことないし、めんどくさがって髪型変えないから知識不足なのよ……こっちきて」
てくてくと姉のもとにミイニャは向かい、
「ウエーブかかってるから、ポニテにするとくせがついちゃうかもよ」
「別にいい。優斗君の望みを叶えたい」
「ほら、出来た」
ショートのポニテいいじゃん! 保存、保存……
「優斗君、どうですか?」
「いや、なんていうか、可愛いっす」
「では、そのままプロポーズをお願いします!」
出た、ラブミイニャ! こんなことやっていたら、クレアの特訓が出来ない。
やらしたのは俺だ! と、自分突っ込みしてみる。
ポニテラッシュで、俺はメロメロ。




