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第68話「おまけスキル(両利き)覚醒……これが二刀流だ!」

「倒す前に一つ教えておいてあげよう。俺はあんたより上の剣を体感してる。で、その人に言われた気がするんだ。タイマンで自分以外に負けるんじゃねえってな」


 左右、両手に剣を持って構える。


「俺もスキルを持ってる。1つは外れ不幸スキル。あまりにも外れだったから、もう一つおまけスキル【両利き】をもらった。進化すると【両手持ち】さらに覚醒させるとこうなるんだ」


 最初と同じように地面を蹴る。

 バニア団長の自動防御は完全なオート仕様。視線や意思はそこには存在しない。

 だったら……


 左の一撃は黄色い光に止められるが、もうそんなことどうでもいい。右を振るい、次に左、右、左、剣速を上げていくと防御の光は追いついてこなくなった。

 威力を上げて、速度を上げて力で打ち破るのみ!


 剣で防ぎ始めたな。だがそれでも防ぎきれないくらい上げてやる!


 攻撃上! 心の声が届き、


 剣をクロスしてその一撃を止め、首元を刈るイメージを剣に乗せると、団長は数歩後退した。


「覚醒スキル【二刀流】か。さっきまでとは別人の動き。意図的に抑えていたな。小僧、剣に意思を、そして驚異的な反応には何か仕掛けがあるな。そのスタイルになって反応速度もまた上がった」


「ああ。まだまだ驚くのは速いぜ。地獄を見せるのはこれからだ。おっさんも隠してる何かがあるなら早く見せろよ、全部だ。1つ1つ破って敗北させてやる。俺についていきたいと言ってくれた、大好きな双子姉妹とメイドクレアを連れて行く。誰にも邪魔はさせない。俺が守れないだと! ぜってえ取り消さしてやる」


「よもや後退させられるとはな、たいした攻撃力と意志の強さ……面白い小僧だ。秘めてる力の底が見えない。2年の地獄と言ったな。何をしてた?」


「言うのも地獄なことだよ。手加減して倒すことは出来ないから、大けがしても文句言うなよ」


「久々に血沸き肉躍るとはこのことだ。お前こそ、すぐに倒れるなよ」


 やべえ、感情高ぶらせちゃったかな。表情が嬉しそうだ。強者との戦闘を楽しむタイプか、それとも……団長は伊達じゃなさそうだ。剣を交えたからこそわかる。このおっさんの強さと内に秘めた曇った感情が。隙を見せたつもりはないけど、攻撃に転じてくる切り替えの早さ……おまけに何かまだありそうだ。


 まっ、負けないけど。


「そこまでにしなさい」


 攻撃しようとした俺の前にサーシアってお姉さまが立ちふさがる。


「まだダメだ。負かしてない。どいてよ!」


「まったく……戦闘中も妹たちからあなたのことを聞いていましたわ。越谷優斗君、ほんとに強いのですわね。まさかバニアと互角とは……」


「互角じゃない。今からあのおっさんを倒すんだ。そしたら2人、いや3人を連れて行く」


「実力はわかりました。人となりは妹2人からがみがみ言われて把握しました。可愛い妹たち、連れて行きなさい」


「えっ……認めてくれたのは嬉しい。でも、まだ止めるわけにはいかない。あのおっさんにさっきのセリフを取り消させるまでは」


「まったく、頑固で意地っ張りですわ……バニア、取り消しなさい! この子が実力者なのはすでに把握しているはずですよ」


「お嬢様、しかし……」


 このおっさん、サーシアってお姉さまに頭が上がらないのか……


「文句があるのかしら? この子の言い分はもっともだわ。騎士団の戦力低下はあなたの指導不足、あたしに同行させても、まだそれがわからないのですか! あなたの行き過ぎた指導は問題視してましたし、1人で呪いのことを嘆き、自分を傷つけ力を付けたこともわかっています……あなたは強い団長。この子を見れば、何が正義か、どうすれば答えに辿り着くのかわかるはずです。1人で背負い込む必要なんてないんです。この子がこれから先、呪いを解く助けになってくれるんじゃなくて? あなたと2人でなら鬼に金棒でしょう」


「いや、俺はおっさんとは組まない。マアニャたちと旅しながら、闇の教団を潰していく」


「君も相当面倒ですね」


 サーシアお姉さんは盛大なため息をついた。

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