第62話「メイドのクレアが仲間になりました」
えっと、そうなるとパーティは初心者僧侶に、可愛いメイドさん……かなり弱さが目立ちそうだけど、大丈夫か?
「クレア、悪いですけど優斗君には私がついていくことになっています」
先ほどの発言を撤回してくださいと、ミイニャは無言で制圧しようとしている。
「それって早い者勝ちじゃないですよね? それにクレアにはとっておきがあるし、絶対役に立てると思います」
例のユニークスキルか……聞き込みとかに役立ちそうだけど。戦闘には使いにくいスキルだからな。
「優君がどうしても連れて行けないって言うんなら、クレアはそれに従うよ。でも、クレアと別れたくない、連れて行きたいけど……って少しでも悩んでくれるなら、連れて行って」
なんて真っ直ぐな瞳。ずっと見つめられたら恋に落ちそうだぜ。
「ふ~む……」
俺は腕組みをし、ちょっと考える。
料理が上手い、優しい、可愛い、俺の良き理解者。その上うそ発見器。たまに悪戯とかもさせてくれるかも……
「よろしくお願いします」
と、左手を出したその瞬間、俺の足をミイニャは思いきり踏みつけた。
「2人きりなんです! ハネムーンを予感させていたんです! 断ってください!」
「断れないだろ。危険を承知でも来たいっていってるのをさ。ミイニャの申し出だって俺は受けたぜ」
「私は……特別なので。当たり前です。それに優斗君、マジ泣きしてたじゃないですか」
そりゃあするよ。別れると思ってたんだから。
「それにクレアは万能だ。料理が上手いし、世話焼きだし。旅するならいてくれると助かる」
「ありがとう、優君。クレア、がんばる」
クレアは弾ける笑顔で差し出した手を握ったが、ミイニャの圧によりすぐに手を離し、座りなおす。
「2人きりが……理想は壊れてしまいました……うんのよさはどこに行った!」
ぶつぶつ呟くミイニャは見ないようにして、
「クレア魔法使える?」
「うんうん、出来ないよ。覚えられるかな……クレアは後ろに下がって、ただ応援してるとかじゃ申し訳ないし、それって足手まといでしょ。そうはなりたくないから、戦闘する力をどうにか身に着けたい」
「……」
俺はちらっとミイニャを見ると、悔しそうに俯き震えている。
「さすがはミラ家のメイドさんですね。痛いところを的確に……大きな傷に大量の塩を塗り込まれた気分です」
「何のお話ですか?」
「あなたには負けません。初心者でもあっという間に僧侶、いえ賢者、いえいえ、大魔導士まで上り詰めて優斗君と結婚します」
「それは無理です」
クレアは涼しい顔で即否定する。
「なぜですか? 私はやってないだけで才能あると思います。物凄い成長を遂げるはずです」
「いえ大魔導士の方ではなくて、優君との結婚、良妻にはクレアがなりますから」
「面白いことをいうメイドさんですね……」
「面白くないですよ。予知、予言です」
「ならその予知、予言は外れることを予言しておきましょう」
どんどん引きつっていく2人の顔を見ながら、俺は旅立つことへの不安を増していく。
頼むから仲良くしてくれよな……




