第50話「圧倒的な戦闘能力の差」
俺は止めていた剣を始動し、風圧で距離を取らせる。
使うのは初めての剣だけど、異様に馴染んで使いやすい。
「なんだ君は? いきなり出てきて。騎士団にでも入っているのか?」
「へえ。顔がまじになったな。今の止めたのと、剣速で少しは実力を把握したか。見抜く能力はなかなかだ。俺は騎士団に入ってないし、入る気もないよ。ただの召使いだから」
「遅いわよ、何もたもたやってたの!」
マアニャは鬼の形相で近づいてくる。
「ひでえな、もたもたはしていない。男の約束を果たしたから、こうして……お前、危ないから近づいてくるな」
「さっき言いかけてたことあってさ……」
マアニャはカシムを見て、
「ご心配なく。あたしには強い、強い召使いが1人いるんだから!」
「お前気づいてたのか……」
「さっさとやっつけて。これは命令よ!」
「2人の主から言われたら、力が自然と入っちゃうな……おほん、それじゃあ戦う前に、そこの悪人面、さっき言ってたな。騎士団が数十人束になっても敵わねえって。それは正しいかもしれないが、お前は騎士団じゃなくただの召使い1人に負ける。何百、何千いようが俺の敵じゃないんでね」
「召使いが調子に乗るなよ……」
殺意を外に出し、全力でむかってくるが、俺にとっては速度も剣速も遅すぎる。
モーションに入る前に致命傷を与えない連撃を五発撃ちこみ後退させた。
「おいおい、弱すぎだな……第一まだ話の途中だ。闇の教団は呪いに関わってるのか? あとお前はその呪いの解き方しってるのか? せっかくマアニャがこの場を作ったんだ。答えろよ」
刃先を顔に向け、威圧しながら尋ねてみる。
「そんなの知ってどうする? これから死ぬのに」
「決まってるだろ。知ってるなら吐かせる。それに俺死なないし」
「教団が呪いをかけたのは事実だろ。解き方なんてしるか! これでいいか召使い、死ね」
カシムは剣を持っていないほうの左手を俺に向けると、勢いよく炎が発射される。
「黒焦げだ、馬鹿やろう……さあマアニャ、皆殺しにしてからゆっくりと……」
火に包まれている俺は勝ち誇ったやつの顔でまた腹が立ったが、冷静に心を静め、剣を一回転させ、剣圧で炎を粉砕してみせる。
「それ以上マアニャに近づくな! 魔法剣士か、お前。ザビア家はもともと魔術と魔法の研究をしてるんだったか? それともスキル持ちか? まあどっちでも関係ないし、敵じゃないけど……」
「てめえ、何者だ?」
狼狽えたな。そのくらいじゃ足りない。マアニャの口を奪おうとしやがって。チュウしていいのは俺だけなんだからな。
「ただの召使いだって言ってんだろ。お前じゃ勝負にもならないんだよ!」
俺は素早く距離を詰め、左で数回、素早く持ち替えて、右で数回切りつける。
「わかるか、今の?」
膝をつき、血を流した相手に少し同情しつつ問う。
「両手持ちスキル。てめえ、スキル持ちか?」
「持ってるけど、両手持ちは卒業してる……お前じゃどうやっても俺には勝てない。目に見える物にしか反応できないだろ、普通。だけど俺は視界封じててもほぼ同じ状態だ」
剣を収め両目を瞑る。
途端に向かってくる闇の剣先、そいつを避けて、奴の腹に蹴りをそのあと拳で顎を跳ね上げる。
悪人野郎はしりもちをついて背中から倒れた。




