第40話「探して、話して、巡り合う」
マアニャの召使いの仕事を終え、カフェに戻る途中に珍しく俺は寄り道をした。
このアイルコットンは、と言うかこの世界は、武器屋、防具屋、道具屋などがあり、そのくせカフェやホテルまである。ごちゃまぜ世界。カフェを通り過ぎ、左に入ってずっと奥に行くと武器屋がある。
店の外からウインドウを眺めてみるが、あんまり良さそうなのは見当たらない。
が、とにかく丸腰では話にならないと思い……
「いらっしゃい」
店内へと入り、ご主人に軽く頭を下げてから、剣が並ぶ場所へ。
手当たり次第に抜いて、触れてみるが、どれもこれも安価なだけあって馴染むものがない。
「お兄さん、剣を探してるのか? ひょっとして騎士団志望かい?」
「いやそういうわけじゃないんですけど……ここにある剣だけですか?」
「ああ。性能のいいのは騎士団に納めちゃってるからね。それだけでうちの商売は繁盛さ……あれ、お兄さんそこのグランデでミイニャちゃんと働いてないか?」
ふっ、あのぼったくり店も有名になったな。もとから有名だったかもしれないが、いい意味で名は上がって来ただろう。
「働いてます」
「いやあ、前はユニーク過ぎて近寄れなかったけど、最近は評判いいよ。なかなか時間なくて行けないんだけど、閉店早いし」
「ああ。ミイニャが集中できる時間短いんで……」
ここにある剣じゃダメだな……
「あの、アイルコットンに他に武器屋はないんですか?」
「家だけだね。前は3軒ほどあったんだけど、騎士団員の数が減少してきちゃったからね……錆びついたり、強度がない剣はいらないのかい」
「ええ。飾るんじゃなく使うので……まあいいや。丸腰でなんとかするか」
剣を元の場所に戻して立ち去ろうと扉へ向かう。
「……待ちな。なにに剣を使うんだい? 騎士団じゃないんだろ?」
「大切な人を守るため……ですかね。俺の戦闘能力は今のとこ剣術しかないんで……」
「……お前さん、召使いなんだろ。あの二人の」
「ええ。あいつら有名なんですね?」
「そりゃあね。あんなことがあってみんな目をかけてるんだよ。良い目をしてらあ。こうゆう商売やってるとそいつが良い奴か悪い奴か見えてくるし、どれくれえの腕があんのかも何となく目が利くようになるんだよ。待ってな」
店主さんはカウンターの奥へと消えて……物音が少しした後戻って来た。
右手に剣を持って。
「これならどうだ」
鞘に入った状態で渡してくれる。鞘は濃い赤で目立つ。柄の部分が少し細く深い青色。
絵を握り抜いてみる。
「軽い……けど強度はありそうだ」
二度軽く振ってみた。鋭く乾いた音が耳に届く。
「これはいい感じです。俺がなくしたのと重さも大きさも同じくらいだから使いやすそうだ」
「持って行きな」
ご主人はなぜか納得した顔で2度頷いた。
「えっ、でもこれ売り物じゃないんじゃ……それに俺あんまりお金がなくて」
「代金はいい。騎士団から前借して貰っているようなもんだ。その代わり守って見せろや、兄ちゃんの言う大切な人っていうのを」
「はい。無事終えたら報告に来ます」
こうして俺は1本の剣と巡り合った。




