第38話「2人にメッセージを」
「で、あんた何か話があるんでしょ。そんな顔してる。なに?」
今の(キスした)後で冷静に話せる内容ではないんだけど、もう時間が迫っているし、後回しにするわけにはいかないか。
「お前、明日婚姻するのか?」
「それ、あんたに関係あるの?」
ふっ、そういうと思ったが、あると言う理由付けは今おまえが作ったんだ。
「大いにあるとも。キスしてくれただろ。そんな相手をみすみすわけのわからん奴と婚姻させるわけにはいかないのだぜ」
「……今のなかったら、どう切り返してたのよ?」
「大いにあるとも。俺はお前の召使いだぜ」
「説得力無さすぎ。全然それじゃ響かない。あんたの方がよっぽどわけのわからない人よ」
「かもな……なんで婚姻なんてしようとする? 理由があるなら話してくれ。例の呪いのこと探ってるんだろ?」
「……なんで知ってるのよ?」
「ミイニャから全部聞いた。そしてそのことをミイニャは自分がしゃべってことを話していいと言ったのだぜ」
「あのお喋り……まさか召使いが役立つとでも思ってるのかしら? 禁忌の呪いについてあの子は何て?」
「誰も解くことが出来ない。解けるとすればかけた術者のみ……みたいなこと言ったかな」
「あれは相当な魔力と悪意がそこに必要な術。どうせミイニャはあの年上女性がやったと思ってるんでしょうけど、あの人にあの術は無理」
「どうしてそこまで断言するんだ? その日、少なくともそれが起きる前までいたあの人をその件から除外するのは無理だろ」
「そうね……でもあたしは除外してる。女の勘ってやつでね」
「説得力がない……」
「うるさいわね。あんたはよわっちいんだから、関わるのは止めなさい」
「あっ、いやその件だが、お前俺を少し誤解している……」
どうしようか、ここで話をしてこいつは俺の話を信じてくれるのか?
「誤解なんてしてない。あんたは明日、城にもこの邸にも顔を出さないこと。いい、これは命令よ」
「その命令には従いかねるね、マアニャ様。考えがあるなら言ってくれ。グランド1人でどうにか出来る問題なのか? クレアもバートンさんもミイニャも、みんな心配してるんだ。俺だって……」
「何も言うつもりはない。あなたにも……ただあたしは嫌いなやつと婚姻なんてごめんだし、キスなんて絶対しないってこと」
「だから今のままじゃそうなっちゃうだろうが……ザビア家、やばいんだろ? 少しは周りを頼れよな」
「信じてる。ただそれだけ……あっ、それから一つ聞くけど、ミイニャはあなたをちゃんと召使いにしたのよね?」
「ん、ああ。最初説得するのに多少苦労した……それがなんだよ?」
「別になんでもないわよ。そしくなかつ! あの子にそう伝えなさい」
「そしくなかつ? なんじゃそれは。方言か何か?」
「あんた忘れそうだし、間違えそうね」
マアニャは俺の手を掴み、手の甲にペンで走り書きした。
「これでよし。言っとくけど、このメッセージはミイニャとあんたに向けたものだから。ちゃんと理解しなさいよ。話は以上」
「切り上げんなよ。いいのか、ほんとに!」
「ほんと馬鹿ね」
マアニャは盛大なため息をつき、
「あたしたちは双子。あの子の考えていることや悩んでることは全部とは言わないけどだいたいわかる。それは逆でも同じはずよ。ミイニャが呪いについて話したなら……いいからそのメッセージを見せなさい」
「はい……」
俺は不満顔でツンツンでお優しい主を見た。




