第33話「いい匂いがしますね」
「どうだった?」
クレアの部屋に戻り、俺は結果を確認する。
嘘を見破る力、ユニークスキル名は知らないが、それを所持しているクレアにバートンさんが真実を言っているか確かめて貰っていた。
「嘘は何にもついてなかったよ。元々バートンさんは隠し事をする人じゃないし」
「そっか。あの人、ずっと執事なの?」
「少なくともクレアがここで働きだしたときにはね」
「探っているって言ってたけど、クレアはそれについては何か思うことはある?」
「わからない。マアニャ様、あんまり自分のこと話さないし……」
「今日会合に来たやつ、見たりは……」
「ちょっとだけなら、挨拶したよ」
「受けた印象は? 直感的なことでもいいから教えて」
「……」
クレアは少しふさぎ込む。答えにくい質問だったかな?
「あくまでクレアが受けた印象でなら……今から言うことは他言しちゃダメ、いい?」
「了解」
「会合相手はたぶん2人だけだと思う。1人はグランドさんと同じ年齢くらい、見た感じは二枚目? だけどその視線は何か気味悪かった。上手く表現できないけど、値踏みされているような……もう1人はバートンさんより少し若いくらいかな? こっちの人は特に嫌な感じはしなかったよ。このお邸に来た人の中で、今までで一番気味悪いと思ったのが、若い人の方……でも、これはあくまでクレアが受けた印象だから……」
真に受けても困ると言いたいのだろう。
「ありがとう、クレア」
「うんうん……マアニャ様があんな人を婚姻相手に選ぶとはクレアは思わないよ」
「俺もそう思いたい。あとは明日、本人に直接確かめる」
「じゃあ、今からはクレアとイチャイチャする時間かな?」
小首を傾げられ、口元を緩めたその姿に思わず、素早くスマホを出してシャッターを切る。
「……あまりに可愛かったので、保存しておこうかと……ごめん、写真とか平気だった?」
撮ったあとで、事後確認。
「強く抱きしめてくれたら、お咎めなしだよ」
そう言われたので、ぎゅっと抱きしめてあげた……
こんなに優柔不断で大丈夫なのだろうか?
☆ ★ ☆
「どうでしたか?」
ベットに座り込んだミイニャは早速報告を聞きたいようだ。
邸に泊まると言う選択肢ももちろんあったが、目の前のこの子が怖すぎて帰宅することを選んだ。
俺はミイニャに仕えている身だし。
「バートンさんとクレアに話を聞けた。何かをマアニャは探っているってことだったぜ。俺には何のことかさっぱりだが、ミイニャ何か思い当たることは何か?」
ミイニャの隣に俺は腰掛ける。
「そうですね……ん?」
こっちを見て途端に反応を示した。何か気が付いた様子。
「何かあるのか?」
「いい匂いがしますね」
はっ?
「えっ、今日はそんなに汗かいてないし、洗剤の匂いとか?」
「いえ、そうじゃなくてこれはメスの匂い」
ミイニャはさらに鼻を近づける。獣か、お前は……嗅覚異常じゃないか。
「さてはクレアに何かしましたね?」
なんて鋭さなんだこの子は……
獲物を見据える獣に俺は視線をロックされた。




