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第2話「双子姉妹の召使い」

 俺は越谷優斗。この世界に来る前の記憶はほとんど持ち合わせていない。


 たぶん2年と2カ月前にこの世界にやってきた。

 最初の2年は美人なお姉さんが1人しかいないどこかの山奥で、剣術を教えてもらい、スキルを進化覚醒するのを手伝って貰った。


 そしてスキルが覚醒するその時、お姉さんは俺をアイルコットン城へと飛ばしたんだ。

 お姉さんのことはほとんど思い出せなくて、名前と顔も忘れている。俺の覚醒したスキルの犠牲になるのを恐れて、たぶん都合の悪いところだけ記憶を消されたんだと俺は思ってる。


 それとお姉さんと二人きりの時間は天国ではなく、物凄い地獄だったことはなんとなくだが覚えている。もう二度とごめんだね。

 よく2年間も耐え忍んだもんだ。


 俺のユニークスキルはすれ違いから引き寄せに進化。

 そして引き寄せからハーレムへと現在覚醒している。


 ハーレムと言えば世の男性諸君なら喉から手が出るくらい、手中に収めたいスキル能力かもしれないが……発動条件がいまだよくわからず2ヶ月が過ぎている。なんかこのスキル、発動条件が厳しく設定されていないか?


 別に俺が不幸にならなければなんでもいいんだけどね。


 ユニークスキルなので戦闘にはあまり向かない。だからかもしれないが、お姉さんはもしものときのために剣術を教えてくれたのだろう。

 じゃあ今の俺は剣士か? と訊かれたら、そうではない……


 姉のマアニャ・ミラ。妹のミイニャ・ミラの双子姉妹に仕える只の召使い。


 午前7時~午後1時まではミラ家の邸でマアニャのお世話。

 午後2時から午後8時まではミイニャが営んでいるカフェのスタッフとして……

 美貌を纏うマアニャとミイニャに仕えております。


 なぜこんなことになったのかと言うと……


 それは、近いうちに話すことになる。



 ☆ ★ ☆



「いいのかな? やっぱり今からでも別のメニューにした方が……」


 広い台所にいい匂いが漂う中、同じ召使いであるクレアは心配そうに、ただいま絶賛クッキング中の俺を見た。


 黒髪のセミロングにすぐ照れる仕草、容姿を含め、まず可愛い。お嫁さんに選んでくれたら幸せにしますよと宣伝されているような印象を初対面時に受けたし、アイルコットンにて最初に仲良くなったのはこのクレアだ。


 メイド服に身を包んだクレアはまさにザ・メイド。

 クレアが上手くフォローしてくれていたおかげで、俺が遅刻してきたことは誰にも気づかれていないようだ。執事のバートンさんには勘づかれているかもしれないが。


 クレアにはあとで好物のクレープでも奢ってあげよう。


「いいのだぜ。責任はすべて俺が取る。店の看板メニューを出すから、念のためミイニャの許可は貰ったし。味は保証するよ」


「相変わらず楽しそうだね……降りてくるまであと3分」


「ふっ、たまげるがいいぜ」


 俺は悪魔的な笑みを浮かべ、お皿に盛り付けを始めた。

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