第28話「仮の団長イケメン男、グランドが来店しました」
「まだですか?」
そんな真剣に睨まないでくれませんか? 本気でプロポーズをまっているんだろうか?
「……ただの召使いが主にプロポーズなど出来ない」
「出来ます! まったくもう……気まずくなりそうなので、話を戻しましょう。お姉ちゃんの会合相手、見なかったんですか?」
「うん。悪戯の罰で訓練場に正座している間に終わったか、その後クレアと雑用してる間に帰ったんだと思う」
「お姉ちゃんの召使いですよね……あんなに気に入られているのに、優斗君は何も聞いてないんですか?」
「まったくもって存じえない。少し前の時も、見送りに出ようとしたらぼこぼこにされそうになったんだよ」
「では前と同じ人が出向いてきたのなら、その人に優斗君を会わせたくはないんでしょうね。相手は1人ですか?」
「いや……クレアは会合に集まった人たちと言っていたから、少なくても二人以上だな」
「お姉ちゃんが会わせたくなかった理由は簡単に想像が出来ますが……とりあえずクレアに聞けば知っているのでは?」
「そうだな。仕事終わったら聞いてみるか……」
ミイニャは鋭い視線をこちらに向けて、
「聞いたあと、優斗君はどうするんですか?」
「ミイニャこそどうする?」
「先に聞いているのは私です」
「わからないけど、それがあいつにとって望ましくないことなら、俺は……」
ドアが引かれ、お客さんが入ったその瞬間に、ミイニャと俺は、
「いらっしゃいませ!」
と声を出し、軽く会釈し客人に目をやる。
「なんだ、グランドかよ……」
「知っていそうな人が来ましたね。褒めてください」
ミイニャはうんのよさのステータスが振り切れているからな。こうなるのは必然か。
「あとでな……カウンター席でいいですか?」
「ああ」
イケメン長身で騎士団員の仮団長グランドは俺たちの前へと来て、腰を下ろした。
茶色のズボンに青いシャツ。ラフな格好でも似合うな、こいつ……
「アイスコーヒーをお願いします」
グランドの方がミイニャを前に緊張しているみたいだな。
「かしこまりました。優斗君は談笑していて大丈夫です」
すでに手を動かしているミイニャにそう言われたので、
「昼間は悪かったな。あいつ、心を入れ替えたか?」
「いや……すぐに脱退したよ」
ただでさえ少ない団員の数を減らしてしまったが、内面的に騎士団の器じゃなさそうだったし。といいように言い訳を考えていると、
「改めて詫びさせてくれ。仮とはいえ、僕は団長だ。団員の不祥事には僕にも責任がある」
「そんな背負い込むなよ。もうちょっと気楽の方が楽しいぜ。詫びも必要ないし」
「……優斗に驚いたのは、今回で3度目だよ」
クレアを助けた時と、今回の決闘か……あれもう1つはなんだろ?
「少し君と話がしたくて、来店させてもらった。ミイニャ様もいるからね」
「イケメンと話をしても、俺はそこまで楽しくないけど、ミイニャの心は内容次第では盗めるかもしれないぜ」
「ありえません!」
即否定して、アイスコーヒーの入ったグラスをグランドの前に出し、俺にはアイスティを入れてくれる。
「おいおい、こんないい男が他にいるのかよ?」
「います、ここに」
ミイニャはぐっと俺に小顔を近づける。近くに居るだけでいい匂いがしてくるんだよな。




