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第24話「理由はすでに召使いだからです」

「……なるほど。凄い店だ。利益は今までないのか……」


「いえ、そんなことはありません。お水は高いですからね」


 またも俺としたことが、値段を見忘れたか。というか、水に値段を取るなよ。


「……」

 今日の昼間、クレアにこの世界の通貨を教えて貰っておいた。


 腰抜かすぞ、この店俺が知ってるお金の知識に換算して、水に10000円を取っている。


「ぼったくり過ぎだろ! 訴えられるぞ」


「それはありえません。会計時に……ほんとうに戴いて大丈夫ですか? と確認して同意書にサインを書いて貰っています」


 ミイニャはさも自慢げに今日の同意書三枚を両手持ちする。


 抜け目ねえ……


「ここはカフェじゃない」


「カフェです! 私が飲んでますから」


「人が来るか来ないかは別にして、どうしてちゃんと営業しないんだ?」


「1人で仕込みと接客は大変と言うより、淋しくなります。いいんですよ。ここが私の家ですから。1人でも……ただ報われないのは少し辛いので……逃げているだけです」


「逃げるなよ……」


 なぜこのカフェは営業を続けているのか、みなさんの疑問だろう……この子は俺を待っていたんだ。そして俺は来たぜ! と最高にポジティブに考える。


 カウンター内に入り、ミイニャの隣に陣取った。


「なにを……近づかないでください」


 やはり、あからさまに警戒され、距離を取られる。


「俺は君の召使いってことになってる。だからお店も手伝うし、人が来るように最善は尽くすつもりだ……いつまでかはわからないけどな。で、俺はなぜ嫌われているんだろうか? 手伝わさせてくれるなら、仲良くはしたいし、誤解なら解いておきたいから、そこまで毛嫌いされている理由を知りたい」


 ミイニャは肩をすくめ、


「……お姉ちゃんから、私がミラ家を離れた理由を聞きましたか?」


「いや」


「あなたはあの女をなぜか連想させます」


 ミイニャは下を向いて言葉を吐く。


「女? ……って、誰のことだよ?」


「詳しくは話したくないと言うか、聞かれたくないのですが、私たち家族を滅茶苦茶にした性悪女がいます……お姉ちゃんがどう思っているかは知りませんが、私はあの女がすべての発端であり、呪いをかけた張本人だと思ってます」


「……誰がその呪いにかかってるんだ?」


「それは……すいません、言葉にすると思い出してしまうので……お姉ちゃんと私ではありません」


「その性悪女って綺麗なお姉さんか?」


「知ってるんですか!」


「いや……昨日飛ばされたとき、そのお姉さんの記憶も同時に消されたか、操作されたみたいで、知っているとはいいがたいな。ただ君が俺から性悪女っていうのを連想させてるなら、俺が思い当たるのはその人だけだ」


「仲間ですか?」


 ミイニャは両手をにゅっと握り、じっと俺を見つめる。


「あんまり覚えてないから断言は出来ないけど、仲間じゃないと思う。微かに残っている記憶では俺はその人に多少感謝はしてるみたいだが、同時に酷く恐れているからな」


「……嘘は言ってませんね」


「うん。俺の言葉を信じてくれるかわからないけど、君たちかあのお姉さん。どちらかしか助けられないって言われたら、俺は迷わず君たち双子姉妹を助けるよ」


「理由を聞いても?」


「すでに召使いだからですよ!」


 パン、パンとミイニャは目を覚ますように、自分の掌でもちもち肌を叩いた。


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