第39話「魔術の大会・マアニャ&ミイニャVSカグヤ戦決着」
マアニャとミイニャは傷を治し、よろよろと身を起こし、目の前の大敵を見つめた。
カグヤ嬢は二人の眼差しを受け、なんだか嬉しそうだなと俺には映った。
「まったくあたしのダーリンはいちいち刺激してくれるわ!」
「私の旦那様、優斗君は元気をくれます!」
マアニャとミイニャは目を合わせムッとする。
「負けたらクレアに優斗を取られる!」
「クレアは半分以上本気ですからね!」
双子姉妹は力強く頷き、さっよりも凄まじい炎と氷で自分の周りを覆う。
「どのみち力を合わせなきゃ勝てないわ!」
「悔しいですが、今は二人で上回れば勝ちです! いえ、ベリちゃんと3人ですね」
「優斗に教わったこと、すべて出し切って、今の限界を超えて……」
「優斗君に教わったことを忘れていました。それにまだ私たちには武器があるのも……」
「必ず勝つわよ!」
「絶対に勝ちます!」
2人は同時にリングを蹴る。
「接近戦……お二人とも魔法使いと僧侶なのに……」
「いやそれでいいんだ。中距離や遠距離からじゃカグヤ嬢の絶対防御は破りにくい。それに接近戦でこそ隙が作りやすい」
マアニャは拳と足先を妖精の力で覆い、ベリは炎で包んで攻撃。ミイニャはフェニックスの杖で攻撃する。
三方向からの攻撃も風の防御に阻まれるが、一撃受けるごとにその衝突した部分は形を崩す。
「ほう、妖精の力か。特殊なパワーを会得しているな」
カグヤ嬢は手足を風魔法でコーティングし、3人に攻撃をしようとする。
あれが、カグヤ嬢の近距離戦闘用のスタイルか。だけどその判断は誤りだ。
マアニャとミイニャ、ベリまでもその格闘術とも言える攻撃を簡単に避ける。
「優斗の言った通り。あなた、近距離戦闘に慣れてないわね」
「あなたほどの力があれば一撃で倒せますからね」
「確かに近距離戦闘は苦手。だけど」
カグヤ嬢は扇子を出し、
「強風の舞!」
近距離関係なく、インターバルなしで3人目掛けて放つ。
ミイニャが超至近距離からそれを抑え込んだ。
「せっかくのこの距離を引き離されるわけにはいきません。風だけの魔法なら相殺することは可能です」
「なかなか手ごわいな。ではこれはどうかな? 嵐の舞!」
「混合魔法! 待ってました、この瞬間を! ミナザブレス!」
超至近距離での複合魔法に複合魔法を唱える。
カグヤ嬢とミイニャの魔法が衝突し、爆音と爆風でリング上が見えなくなる。
「あんな距離にいたら、相殺したら、ただじゃすまないんじゃないのか?」
「最初からノーダメージで倒せる相手じゃないからな。多少のリスクはしょうがない」
「それにマアニャさんとミイニャさんのペースです。チャンス到来!」
「ああ、ここしかない!」
リング上がまだ風と霧に覆われている中。
「カグヤ様、お怪我は?」
カグヤの髪の中から使い魔が出てきて、30センチほどの大きさになる。ゆらゆらお化けみたいな形だが可愛いと表現もできるだろう。
「いや、大丈夫。まったくあの妹の方、混合魔法を詠唱なし、ノータイムで撃てるのか……あれは放つときに瞬時に判断してそれを……才能あるわね」
突然その場に現れたようにベリはカグヤ嬢の顔面に炎で覆われたパンチを浴びせる。
それは風の自動防御で難なく防がれるが、
「ほう。使い魔がダメージ無しということはマアニャも無傷に近いか。なかなかいい反射神経をしている」
ベリはお腹を大層膨らまして、火炎をカグヤ嬢に放射する。
「無駄だ。いくら火が弱点属性でもその程度では私の防御を敗れはしない」
「でしょうね。わかってるわ、そんなこと! あなたを倒すにはこれしかない」
ベリが火を吐きだした瞬間に、
「魔法に想いを込める! マラザボムゾ!」
マアニャは超至近距離から最強の炎魔法を唱える。
「ミナザブレス!」
マアニャとベリは瞬時に宙に浮きその場を離脱した。
「お姉ちゃんの最強炎魔法+私の混合魔法で3種混合魔法! 最初から至近距離でのこれしかないと思っていました。さっき混合魔法を混合魔法で相殺したのは、隙を作るためとより強力な一撃を仕上げるための時間が必要だったからです」
さすがのカグヤ嬢もあの至近距離からあれを食らったらひとたまりもあるまい。
俺だって戦闘不能になるかもしれない。
「あの距離からなら避けようがないはずだし、いくら強力な防御でも破れているはず……」
マアニャはミイニャの隣に降りてきて、まだ煙が上がっている先を見つめる。
「手ごたえはありました。想いもフルに込めました。タイミングもぴったりでした」
「カグヤ嬢だし、大けがぐらいで済んでるわよね……」
「手加減する余裕などこっちにはありませんし……」
煙が晴れてきて、カグヤ嬢の姿が現れる。
「お~、危ない。3種混合魔法か。あんなもの至近距離からぶっぱなすな」
無傷ではない……服がところどころ破れていて、表情も余裕さは消えている。
それでもそんなものかよ。
「風、それもその扇子で直撃を避けたのね。戦闘センスも桁外れだわ」
「感心している場合ですか。あれ以上の威力となると……」
マアニャはさらに自分の周囲を炎で覆い、ミイニャは目を閉じる。
「こんなもんじゃないわ。まだまだ出せる!」
「いい加減に来てください。この瞬間をおいてほかにありません!」
上空に大きな影が覆ったので、反射的に顔を上げる。
大きなのがそこにいた。
「迷子になってました!」
大きさをどんどん縮めながら、その子はミイニャの肩に降りてくる。
「来たぁ! あなたが私の使い魔ですね! ちょっと重いです」
「いかにもニャン。オルフィイドと言います。オルフィと呼びくださいませ」
猫、いや狸か……猫タヌキだな。
「猫タヌキ……まあこの際なんでもいいです。今から全開で最大攻撃魔法を撃ちます。威力を上乗せしてください。水ですよね、得意属性?」
「いかにも」
ミイニャの方もさらに魔法威力が上がったようで……
「ようやく使い魔来たのね。よかったわね」
「ふっ、これでお姉ちゃんにデカい顔をされないですみます。ていうか、もはや2対1なら負ける気すらしません」
「末恐ろしい2人だ。限界とは常に超えていくもの。成長限界は決めてはならない。それは強いものでも同じ。認めてやろう、マアニャとミイニャ。そなたたちこそ、優斗のパーティーに相応しいと。先日の無礼も詫びる。パーティーとは補い合い、高めあい壁を越えていくもの。そういう意味では優斗とクレア4人を相手にした気分じゃ。いいメンバーだ。さすがのわらわもしんどいな……わらわの負けじゃ」
「いいの? いまからさっき以上の物を放つつもりだったのに」
「残念です。諦めはやくないですか?」
「元々、どのくらい伸びしろがあるのか試したかっただけだ。だからケティとコウコにもそれを伝え、必要以上に熱くなるなと伝えた」
マアニャとミイニャはカグヤ嬢の言葉は聞いておらず、くるりと反転し、こっちにかけてきて同時に抱き着いてくる。
「勝ったわよ。さあ、プロポーズしなさい」
「勝ちました。優斗君、使い魔も来ましたし、プロポーズを」
俺は二人の勢いに押され、地面に倒れこむ。
やれやれ心配していたこっちの気も知らないで……
とにかく俺、マアニャ、ミイニャ、クレアのパーティーメンバーは変更せずにすんだか……
とりあえずはめでたし、めでたしか。カグヤ嬢がなんのためにこの戦いを吹っ掛けたのかはわからない部分があるけどな。




