第37話「魔術の大会・ミイニャVSコウコ」
ミイニャVSコウコ。試合開始。
「お姉ちゃんめぇ、いとも簡単に上のステージまで……あっ、乳でかコンビ、優斗君に近づきすぎないでください!」
ミイニャはこちらを振り返り、地団駄を踏む。
「集中しなさいよ。負けるわよ!」
「わかってます。気が散ることしないでください」
「攻撃していいですか?」
「コウコさん律儀ですね。どうぞ」
コウコ右手で水、いや氷魔法を唱えた。しかもその大きさは尋常ではない。太い、太い氷の柱が5本ミイニャへと向かっていく。
「おっきいですね。おおきすぎ?」
ミイニャはその大きさには驚いたが、かわすことはせずただ右手を前に出し、それをいとも簡単に吸収していった。
「無意志的に自分の使用する魔法に変換、消滅させている。なるほど、ものすごい才能ですね」
「どうもありがとうございます。見たところ、コウコさんも風、水が得意な僧侶みたいですね。それに今の大きさ、スキル的なもの使ってます?」
「僧侶は大抵そうです。ええ、スキル持ちです、私。でも拡大だけで縮小は封印しておきます」
ピキ、ピキん! とコウコはリング全体、をひんやりと凍らす。ミイニャの足元も凍っていたが、ミイニャはそれをいとも簡単に溶かし、逆にリング全体をコウコよりもさらにひんやり凍らす。
「優斗君はすごいです。優斗君の言葉だけで力が湧いてきます。手から放たれる魔法の成分と割合、解析、今の私にならすべてをゼロにできそうな気さえします」
「同じ僧侶として尊敬に値する存在ですね、ミイニャさん」
コウコの肩にはいつの間にか小さな白猫が乗っていた。
「ニケさん、ちょっと魔法力貸してください」
「あの人、1人ですか。使い魔は?」
「まだいないみたいです」
「2対1は卑怯な気がします」
「そんなこと言わないでください。すごい才能の持ち主です。もうちょっと引き出してあげたいんです」
「そういうことなら、まあ」
コウコとニケという白子猫使い魔はミイニャに右手を広げ構える。
「私の使い魔はいまだ来ない、大失態」
ミイニャはフェニックスの杖を出し、ケティの方にそれを向けた。
「これは優斗君が私のために作ってくれたものです。私、これがこの杖が欲しかったんです!」
杖の先に魔法力を集めていく。
「さてと、コウコさん相手なら割と本気で行きますよ。お二人も混合魔法みたいですし……ミナザブレス!」
ミイニャの放ったミナザブレスとコウコたちの放った混合魔法は似通っていて、中間の距離で押し合いになる。
コウコと使い魔の方が踏ん張っているのに対してミイニャは再度杖に魔法力をため、
「ミナザブレス!」
連続で放ちやがった! しかもマアニャのマラザボムゾと同様、前に見たそれとは明らかに違う。
ミイニャのミナザブレスが完全に押し切り、コウコと使い魔はそれを左右へと散らすのが精いっぱいだった。
マジかよ、ミイニャの奴。俺の想像よりもはるかにレベルアップしている。
これならもしかしたら、もしかするかもしれないぞ。
「あのう、1つ聞かせてください。僧侶の修行、いつからですか?」
コウコが尋ねる。
「小さい頃、一度修行を断念させられています。理由はあまりにも私とお姉ちゃんがおてんばだったからでしょう。その期間を入れても、今でちょうど2ヶ月くらいですね」
「経った2ヶ月……カグヤ様よりも成長スピードが速いのでは……勝てると思いますか、カグヤさまに?」
「勝ちますよ、優斗君と一緒にいるために。勝てないわけがないでしょう。優斗君が応援してくれているんですから」
「全力を出して、白黒はっきりつけるというのも方法ですが、対カグヤ様戦が万全でなくなるかもしれませんからね」
コウコは振り返り、ケティとカグヤ嬢の方を見る。二人は首を縦に振った。
「頑張ってください。戦いながらさらに急成長することを願っています。負けました」
コウコは降参して踵を返し、ミイニャから離れていく。
たどり着いたか、決勝まで。
いや、たどり着かせてくれたという方が正しいかもしれないが。
「優斗君!」
マアニャとクレアに挟まれていた俺にかまわずダイブするようにミイニャは抱き着いてきた。
俺はそのウエーブのかかった赤みがかった茶髪を撫でてあげる。
「お姉ちゃんさえ、ちゃんとやればカグヤ嬢にも勝てます」
「あなたもちゃんとやりなさい! 試合中何回よそ見すれば気が済むのよ」
「お二人とも頑張ってくださいね。クレアが優君独占しちゃいますよ」
「クレアぁ!」
マアニャもミイニャも満面の笑みのクレアに眉間にしわを寄せ詰め寄った。
はあ、元気なことで。




