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第27話「剣技の大会(クレアの準々決勝・勝敗)」

 まみって子はクレアが振り返って瞬間に急所目掛けて剣を斜めに振った。


 シュン!


 と、乾いた鋭い剣速で、それはガードしながら後ろへ飛んだクレアの胸元を少し破いて、手首より少し上の部分(つけていたリストバンドも少し)を切りつけ出血させた。


「よく反応したぜ。瞬時に」


 むしろあのくらいのダメージによく収めた。思わず俺はぼそっと呟いてしまった。

 まみって子はクレアがはじき、落ちてきたブーメランをパシッと片手でキャッチする。


「はあはあ……危なかった。2つ使わなきゃ今ので降参しなきゃいけなかった」

「クレアさん、何か特別な力があるんですね。勝ったと思ったんですけど」



「危機一髪だったね」

 隣のグランドが会話したそうに言葉を投げた。


「余裕を見せすぎたかな」


「どういう意味だい?」


「見てればわかるさ。クレアはどんどん強くなっている」


 クレアの隠していている4つの力。

 妖精の力。

 スキル【先読み】発動による戦闘能力アップ(俺の動きを読まれていたのもこれによる)

 それから元々持っているフィニッシュ時の押し込み。

 そして……



「あの、まみさんちょっとだけ待って貰っていいですか?」


「もちろんです」


 相手があの子でむしろ良かったかもしれない。クレアは靴を脱ぎ、足首につけていた重りをまず外す。

 次に少し切られたリストバンドを外すとこっちを見てにっこり微笑んだので、俺は首を縦に振った。



「パワーアンクルか。それも何キロの物をつけさせてるんだよ。リングに少し亀裂が入ってないかい?」


「クレアは元々素早さがあったからな。つけている状態で元のクレアの全速くらいまでは追いついた。それに重りを付けることで、剣速が上がるのは言うまでもない。手を抜くことも覚えられるし、いいことずくめだろ。ここからがクレアの本領発揮だ」



「よくそんな重りつけていて動けましたね」


「ちょっとコツがあります。こんなふうに」

 最初の踏み込みでクレアはまみの背後に回り込む。


「速い……目じゃとても追いきれない速度」


「あなたなら試せるかもしれない」


「降参してもいいですけど、まみは防御が優れた戦士です」


 そう言うとブーメランと剣をクロスにして構える。


「もし、この防御を敗れたらその時は降参します。場外に落とされるとか痛そうですから」


「わかった。じゃあ見せてあげる。優君流の奥義を」

 

 タン、タン、と後ろへ飛んで距離を取ったクレアは剣を抜いたままで加速していく。


☆ ★ ☆


「戦闘において最も大事なことは、攻撃一つ一つに想いを込めるってことだ。どうしたいのか、次の攻撃の伏線のため、この攻撃はわざと避けられるためとか。一振りに想いを込める! それが威力を何倍にも引き上げてくれると俺は思っている」


「剣に想いか……難しいね」


「うん、簡単じゃない。何のために剣を手にしているのか? なんで戦うのか? 負けないため? じゃあなんで勝たないといけないのか……っていうふうに自分で自分を見つめているみたいで結構面白いんだぜ」


「優君はどういう想いを一振りに込めているの? 一番弟子として師匠の想いは聞いておきたいよ」


「俺は単純明快だよ……守りたい誰かのために。マアニャ、ミイニャ、クレア、アルカにベリ。俺が敵を倒さなかったら大切な子が危険にさらされちゃうかもしれない。俺のなかで一番あってはならないことだ。つまるとこ、愛を込めてるんだよ」


 俺は恥ずかしく俯いてクレアに回答したのだった。


☆ ★ ☆


「愛、クレアもこの一撃にそれを込める!」


 その一振りは剣とブーメランをクロスしている場所に一度は止められたが、火花を上げてもう一段階押し込むと剣とブーメランは真っ二つに折れた。


 ガシャン、からんとリングに刃とブーメランの破片が落ちる。


「はあ、はあ」

 クレアの荒い呼吸音が静かに聞こえる。


「今の一撃は騎士団長クラスかもしれませんね。ふっ、どうやらノルマは超えているみたいです。闇の教団と渡り合える戦力、越谷優斗さん。クレアさん、あなたは優斗さんのパーティーメンバーとしてふさわしいことを認めます。試合はまみの負けです」


「ありがとう。あっ、でもごめんなさい。剣とブーメランが」


「お気になさらずに。両方とも修復できます。それに普段のまみの最強武器ではないので」


「えっ!」


「手を抜いていたつもりはありません。まみなりに大丈夫と判断したからこその降参です」


「あなたたちいったい?」


「それはいずれわかりますよ」


 クレアは一礼し、くるりとこちらを向いたかと思ったら勢いよくかけてくる。

 遠目ではわからなかったけど、お胸部分が切られていて、おっぱいがプルンプルンと……


「優君、やったよ! クレアが勝ったんだよ。もうこれで良妻だよ」


 むにゅむにゅと当たる感触が、心なしかいつもより柔らかく感じてしまった。

 大げさでなく鼻血出そう。


「おめでとう、クレア。はい、ハグは終わりよ」

「おめでとうございます、クレア。優斗君、なに鼻の下伸ばしてるんですか! 殺しますよ」


「いや、だってクレアの胸がちょっと見えて」


 どかどかどかと三人に1発ずつボディ打ちされた。


「クレアちゃん、おめでとう~。これでパーティーは3人になったね」


 また火に油注ぐ発言しなくていいのに。アルカは……


「アルカはなんで戦わずしてメンバー入りしてるのよ?」


「えっ、だってアルカちゃんはお兄ちゃんの妹だから。ノルマ的なこと言われてないじゃん」


 ベリを前に出して顔を隠すアルカ。ベリ盾のつもりか。


 この後クレアは、新品の踊り子戦士服に着替えた。

 とりあえずクレアがノルマを達成してほっとする。強くなっているな、本当に。


 さっ、グランドの準々決勝、見せてもらおうか、バニア団長に鍛えてもらった実力とやらを。

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