第25話「剣技の大会(クレアの2回戦)」
始めてください!
クレアはその声を聴き、腰に下げた剣の柄をさっと握る。
相手のぐへへ野郎の方は相変わらずやらしい視線を浴びせ、
「なんて可愛い子だ。おじさんにサービスしてくれたらチップ、いや好きなものを買ってあげるよ」
ここは夜のお店とかじゃねえ! なんて野郎だ。
マアニャとミイニャの刺すような視線を感じる。
「優斗、何イラついてるのよ?」
「優斗君、まさかクレアのやられ想像してませんか?」
やられってなんだよ! エッチなことか……
「2人ともリングの上を見てろ」
「抱きしめてキスしてくれたら、降参してあげるよ」
もはや、クレアの対戦相手欲望丸出しじゃないか。
「あのう、言いたいことはそれだけですか?」
「んっ?」
「それだけなら一応答えますけど、クレアがギュッと抱きしめて熱いキスをするのは優君だけですから。悪しからず」
おっ、おう。クレアの発言を聞いて少し嬉しい。
それにしても、あのエロ対戦相手なんかありそうだな。1回戦でも同じようなこと言って、相手をひるませたとしてもそれだけじゃ降参まで持っていけないだろ。
「剣じゃこの俺には勝てねえよ」
「クレアは優君の1番弟子。あなたなんかに負けません!」
タン! と、リングを蹴り、加速スピードを乗せてクレアは剣を薙ぎ払う。
その刃は相手のわき腹にクリーンヒットして勝負あり……ではなかった。刃は弾かれたように戻ってきて、男はさらに顔をにやけさせ、クレアに手を伸ばす。
そのおぞましい掌に捕まれる前にクレアは後方に飛んで距離を取った。
野郎、スキル持ちか。それも【硬化】もしくは【軟化】の防御スキルタイプ。
「優斗、何かクレアにアドバイスしなくていいの?」
「まっ、大丈夫だろ。あのくらいの防御スキル、今のクレアならどうってことはない」
隠している物のどれかを晒すことになるけどな。ノルマは準決勝だし、むしろ試しておいた方がいいかもしれない。
クレアは相手との距離をさらに広げた。
さて、どうするんだろう? 考えるだけで俺の方がワクワクするぜ。
剣を一度鞘に戻し、ググっと膝をかがめ柄に手をかけると右足から一気に加速した。
先ほどとは違う。足元に妖精の力を少し借りているから速度が急激に増してる。そのまま1回戦でアオコが見せた【ヨコイチモンジ】を出すクレア。
ぷにゅという感じで刃が腹部にめり込む。
「終わりか? じゃあいろいろと遊ばせてもらおうか……」
ぐへへ野郎は、余裕をもってクレアに(やらしいことをしようと?)近づこうとする。
「まだです!」
めり込ませてからのさらに剣に力を込める。クレアの一番の長所、フィニシュ時の押し込み!
相手の体が見る見るリングから上がっていき、
「ええっい!」
クレアの大きな掛け声とともに大の男の体は完全に宙に浮き、ハーフスイングからの再始動フルスイングによって場外の先、観客席まで勢いよく飛んで行った。
ドゴン! と痛そうな音が会場内に響き渡る。まっ、スキル持ち出し気を失った程度だろう。
「さすがの腕力」
俺、少し怖い。クレアは必要に怒らせない方がいいな。
審判の女の人は相手の場外負けを宣告した。
そんななわけで、クレア2回戦無事に突破!
まっ、ここまでは順調。最大の難関は次の準々決勝だ。




