第24話「剣技の大会(セシスの1回戦)を観戦」
勝ちを宣言してくれた審判の女の子に軽く頭を下げてリングを下りる。
「優斗、なんで他の選手狙ったのよ?」
4人、いやグランドを含めて5人に俺は囲まれた。
「試したっていうのがあるのと、負けを認めさせるため。えっとたしかあいつは……クロガネってやつかな。Bブロック」
「彼がどうかしたのか? そういえばどこかで見覚えがあるけど」
グランドはリングをはさんで逆側にいるその人に視線を合わせた。
「力を隠して戦っているかもしれない。Bブロック、グランドと一緒。参考になる戦いを期待してるぜ、副団長」
「もしかして、彼と戦いたいのか? 優斗、僕は君と本気で戦いたい」
「決勝まで残れば戦うさ。俺は優勝がノルマなんだ。マアニャたちになんでも言うこと聞かす」
「はあ、スケベなことじゃん、絶対」
「ウエルカムです、優斗君」
「クレア、恥ずかしいけど……優君が望んでくれるなら何でも」
「ベリちゃん、このパーティーで常にまともなの、アルカちゃんとベリちゃんだけだ。しっかりしとこう二人だけでも」
「でも、ベリはママの使い魔で、パパもいますニャ」
俺たちがおしゃべりをしているうちに、リング上ではセシスと鋼の鎧を装備した剣士の戦いが始まった。
戦闘が開始されると、3人娘はリング上に視線を自然と向けている。
(なんだよ、ちゃんと訓練してるじゃないか。強い人の戦いは参考になるからな。何だってそうだが)
と、思ったが、セシスは一瞬で間合いを詰め、
ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン
と、振り下ろし返しを二度。相手の手の甲、掌付近を狙って剣を振った。
その剣速は昨日訓練に参加した時とは比べ物にならないほど速い。
クレアがそれを見て、思わずゴクっと喉を鳴らしたのは当たり前のことかもしれない。
男の剣士は血が噴き出している両手を抑え、参ったを宣言したのだった。
「優君、今の連撃だよね?」
「ああ。モーションが小さいやつだけどな。バッターで例えるならフルスイングしないでハーフスイングくらいで止めてる感じだ」
「あの子、あんなに強かったの?」
隠してたんだろうな。セシスも。
これは準決勝が楽しみだぜ。
☆ ★ ☆
各選手1回戦を終え、俺がメンバー表を見て、勝ちあがると思った人は全員2回戦へと進んだ。
誤算的なことがあるとすればクロガネ。遅れてさっきの1回戦も場外に軽く落としていたし、なにより俺の攻撃を弾いたあの反応速度。
まっ、奴よりもクレアが一番決勝に上がってきてほしいんだけどな。
「ではこれより2回戦を開始します」
審判の女の人の声が届くと、クレアは一度深呼吸をして気持ちを整えたようだ。
「しっかりな」
「うんっ。優君、ちゃんと見ていてね」
「ファイトよ、クレア」
「負けないように」
「クレアちゃんなら大丈夫」
マアニャとミイニャ、アルカも声を変える。
クレアはゆっくりとリング上に右足からのぼった。
「クレアの2回戦の相手は……」
ぽっちゃりどう見ても剣士じゃなさそうな人で、格好も何か古めかしい。
そして何よりクレアを見る目がエロそうじゃないか!
「なんだ、あいつは!」
俺の弟子を変な目で見やがって。奴の1回戦は確か……そうだ女性剣士で何か話していると思ったら、顔を赤くして降参してたから、データがない。
ちっ、クレアに変なことしたら俺がぶっ飛ばしてやる。そうだ、みんな服装をなんかエロい踊り子風装備に変えているんだった。親しい俺でさえドキッとするからな。
「なに、じろじろ見てるのよ? いやらしいわね」
俺の視線にマアニャは気が付いたようで、目を細めそれでいてちょい恥ずかしそうになってこっちをそれでも睨む。
怒っているようには見えない。
「ち、違う! あの対戦相手に言え!」
ぐへへへ、と何でもやってしまいそうじゃねえか。
色んな意味で俺はクレアの身の危険を心配した。




