第21話「剣技大会(クレアの1回戦)
Aブロック1回戦。クレアVSアオコ(幼女剣士の1人)
元ミラ家のメイドで、今は剣士であり武道家でもあるクレアは軽く準備運動をして……
お胸が揺れている。可愛いなぁ、もう。
と思っていると、双子の鋭い視線が飛んできた。
「おほん、緊張はしてないな?」
「うん、大丈夫。2日間の優君先生との特訓で少し自信がついたのかも。クレアが試してたあれはほぼ完成したし」
クレアはサテランドヒルを出る時にスピナ団長から譲り受けた1本の中剣と武器屋で購入したもう1本の中剣を腰に差していた。
二刀流というわけではないが、なんだろ、やけにサマになっている気がするぜ。
「よおぉし、ノルマ達成で優君におねだり出来る! 実力の倍は出来そうな気がします。もう覚醒、もう嬉しい」
気合とうれしさが混じった顔でクレアはリングへと上がった。
「ちょっと優斗! 無責任なこと言ってんじゃないわよ! クレアがその気になってるじゃない」
「優斗君、ぶっ飛ばしてほしいんですか?」
「無責任ではない。モチベーションは勝敗にも影響する。100の力が120になることもあるんだ」
「じゃあ、あたしもノルマ達成したら優斗が絶対してくれないようなことをしてもらうから」
少し不満そうな顔でマアニャは可愛らしく魅力的な小さな口を尖らせた。
「お姉ちゃんは黙ってください。優斗君は私の好きなようにさせてもらいます」
ミイニャはマアニャとは違い、満面の笑みでこちらを見る。
「話はあとだ。始まるぞ」
審判の女の子が開始の声を上げる。
「あの子、一昨日剣で遊んでた子たちの1人よね? 素早かった」
「ああ、でも一昨日と今とじゃ……」
アオコって幼女がクレアの力量を見るためか、早々に決めようとしたのか、リング内を素早く動き回る。
「マアニャもミイニャも自分が戦ってるつもりで、リング内を集中してみるんだ。それだけでかなりの経験値になる」
2人は素直にコクリと頷いた。
大丈夫、速度は確かに早いけど、俺はそれよりももっと速く動いてたんだ。
クレアはアオコの前に回り込むように動きについていく。
「あなた、この速度について来られるんですか?」
「みたいですね。大好きな優君先生はもっと、もっと、もっと速いので」
アオコが剣に手をかけ、抜く前にクレアは鞘ごと譲り受けた方の剣を抜き、わき腹目掛けて薙ぎ払った。その一撃は直撃して、アオコはリングを転がりリングアウトしそうなところで、体制を若干整えて踏みとどまった。
「あ~、もう惜しいなあ」
「もうちょっとでしたね」
始まればちゃんと応援してるんだからな、この2人。
それにしてもあの幼女剣士、よくあの体制から落ちなかったな。体のバランスと反応、それと速度、いいもの持ってる。
「いっ、たぁい」
起き上がり半べそをかき、クレアをきっと睨む。
「あなた、強いなら加減してください! 年齢差考えて」
「ご、ごめんなさい」
「謝るならそのままリングアウトしてください。土下座でも何でもしますから」
「それは出来ません。クレアはノルマをクリアしなきゃならないんです。そうしないと、幸せじゃなくなっちゃうんです。大好きな人と一緒にいるために、それが理不尽な要求であっても、決めた以上必ず成し遂げます。そのためなら加減してあなたに勝ちます」
やっぱクレアは1つの壁を越えている。
「大好きな人……それは大事ですね。では、こっちも必殺技を出します。もし受けきれたらこちらの負けです。降参します」
「ありがとう。どうぞ!」
クレアもアオコも互いに剣の柄に手をかけた。
アオコの方が右足でリングを蹴り、柄に手をかけたままクレアに猛スピードで向かっていく。
あれは!
「ヨコイチモンジ!」
加速をつけたまま薙ぎ払いに移る個人でなく、どっちかと言えば複数相手の攻撃。
あんなの至近距離でまともに食らったらと思うとぞっとするが、アオコが鞘から剣を抜く一瞬にクレアも間合いを詰め、技を出し切る前の段階、剣を抜ききるくらいのところで、自らの剣でそれを止め、勢いも止めた。
「受けきりました」
「急に速度を上げましたか? どうやったんですか?」
「今はまだ秘密です」
どうやら隠している4つの内の2つをほんの少しだけ使用したようだな。
「約束は約束です。負けました」
ふうと息を吐き、大げさに首を振ってアオコは降参を宣言した。
勝者、クレアと審判がコールし、少ない客席にいる見物人が多少拍手してくれる。
はあ~、勝ったか……やべえ、これ見てる俺の方が疲れないか?
「さすが優斗の弟子」
「幸先のいい勝利です」
何はともあれ、クレア一回戦突破!




