第15話「今夜は長い夜になりそうです」
広すぎる王宮内なので、俺は使っていいお部屋がどこかわからなくなり、迷っているとカグヤ嬢のお友達の3人(ケティ、コウコ、まみ)が部屋の前まで案内してくれた。
「色んな意味で剣技の大会楽しみにしてるね」
吹き出しそうになりながらケティはほかの二人と視線を合わせ可愛らしい笑顔を作る。
「色んな意味?」
「ごめんなさい。こっちの話。ゆっくり休んでね」
部屋のドアを開けると、ホテルの部屋のようで清掃が行き届いていてこれならぐっすりと休めると思った。
「もう! 優斗、どこに行ってたのよ!」
マアニャが入ったとたんに詰め寄ってくる。
「カグヤ嬢に少し聞きたいことがあって、あと広いから迷ってた」
「ふっ、優斗君。本当はお姉ちゃんと二人きりが嫌なんですよね。はっきり言った方がいいです」
「なんならクレアが間に入るよ」
「……」
マアニャは口を尖らせ、不安そうな顔でこっちを見る。
「俺は嫌じゃないけど。この部屋、5人で使うには狭いな」
「あたしと優斗はお隣よ。ここ隣とドアを挟んで繋がっているみたい。さっ、行きましょう」
俺の手首を掴んで、マアニャは進む。
「猫ギツネ、あなたお姉ちゃんの使い魔でしょ。向こうの部屋へ」
「パパ」
ミイニャの態度に圧倒されたのか、ベリは俺の顔面にダイブしてくる。
「ベリちゃんはもちろんこっちよ。家族だもの」
マアニャは二人に攻撃的な一言を放ち、ドアを開け俺を引いて隣の部屋へ。
☆ ★ ☆
ドアのカギを閉め、玄関の方のドアもマアニャは閉めに行く。
こっちの部屋は2人部屋だけど、大きなベッドが一つだけか。
一瞬でいろんなことが頭の中を駆け巡り、顔が真っ赤になってしまった。
「よしっ。これで二人きり、うんうん、ベリちゃんを入れて3人だけね」
マアニャは嬉しそうにベッドに腰かけ、
「なに大好きなあたしと同じ部屋にいるからって緊張してるのよ」
「多少の緊張はしょうがないだろ」
そういえばマアニャと二人きりで夜を共にするのは初めてなんじゃ!
「クレアもミイニャも優斗と何度も夜を明かしていたんだから、ようやくあたしの番がきたわ」
「まあ確かに、あの二人とは一緒に生活する時間が長かったからな」
隣に座れと合図するように、布団を軽くたたく。
「だけど、あたしが一番不利な状況のはずなのに、優斗はあたしが一番好きでしょ?」
「どうしてそう思うんだよ?」
俺はマアニャの隣に腰掛け、ドキドキする笑顔を浮かべている彼女を見る。
「優斗、子供でしょ。ていうか幼稚だし」
「子供っぽいってことか? 悪かったな」
「逆よ、逆。最初に会った時から、やたらとからかってくるし、好意持ってることバレバレよ」
「よく言うよ。お前だって俺に散々やってたくせに」
「そうね。だってあたし、優斗のこと大好きだからね」
こいつは、このタイミングで言うし!
「かまってかまわれる関係だから、両想いとか言うんじゃないだろうな?」
「言うわよ」
言うのかよ!
「お父さんとお母さんもその関係だったって聞いたことあるのよ」
マアニャはにんまりして体を俺に寄せてくる。
そっか。マアニャのご両親も。
「ミイニャよりクレアよりもあたしを好きでしょ?」
「だから、そういう質問を今は受け付けないって」
「ふ~ん、あっ、そう。そうなんだ」
「勝手に納得しないでくれ」
「お風呂、部屋にもついてるの。外の大きいのに入りたい? それとも部屋の方がいい?」
「別にどっちだっていいけどさ。あの、今夜は早く寝た方がいいと思うんだよ。明日も訓練しないと」
とてもカグヤ嬢に追いつけない。
「あたしは疲れてないわ。そう簡単に寝かせてあげるわけないでしょ」
意味深なことを言うな!
今夜は長い夜になりそうです……




