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第14話「夕食とカグヤ嬢の思惑」

 夕食はカグヤ嬢、博識な僧侶コウコ、土魔法使いケティ、スキル「調合」を持っているまみ、そしてピンクショートの剣士セシスの5人と共にした。


 どうやら4人はカグヤ嬢を慕っているらしく、その点からもカグヤ嬢が悪役令嬢などと呼ばれている点は腑に落ちないな。


 まあそれよりも気になるのが、カグヤ嬢を除く4人も相当な力を有しているってこと。訓練と経験値はマアニャたちとは比べ物にならないだろう。

 セシスが言っていた自分より強い剣士の存在も気になる。


「はい、優斗」


 マアニャが俺の前に取り分けてくれたトマトとツナのパスタのお皿を置いてくれる。


「お、おう。ありがとう」


 ふっとほほ笑むマアニャの笑顔が可愛いことこの上ない。

 機嫌もよく、珍しく俺の隣に位置取りし、食事中も色々世話を焼いてくれている。

 鬼ごっこで俺を捕まえたらこその機嫌の良さ。


「随分仲がいいんだなぁ。カグヤさん、あれがラブってやつですよ」


「そんなこと言われなくてもわかってる」


 あれ、カグヤ嬢の話し方普通だな。この子たちの前だと変えているのか?


「お姉ちゃん、優斗君にそれ以上近づいたらわかってますね?」

「わかってない。何だっていうのよ?」


 わざわざ椅子を近づけてくる。マアニャの隣に座っているミイニャは息を粗くしてこの俺を睨む。

 やれやれ、困ったな……


「絶対に明日はクレアが!」


 右隣りに座るクレアはぶつぶつ言いながらパスタをフォークにまく。


「やけにリラックスしているが、わたしに負けたらわかっているな」


 いや、マアニャとミイニャはともかく俺がわかってないよ!


☆ ★ ☆


 用意してくれた部屋へ戻る途中、俺は4人に気付かれないように引き返し、風呂場へ向かおうとしていたカグヤ嬢を呼び止めた。


「ちょっと話があるんだけど」


「いいわ。なに?」


 あれ口調が偉そうでない……


「喋り方、色々使い分けているみたいだけどどんな意味が?」


「初対面時では、令嬢を、ケティたちといるときはお友達、もう一人の時は……まあいい。優斗はお友達と勝手に判断した」


「それは光栄だね。どうして、二人と戦う必要がある?」


「言ったはずだ。今のミラ家の二人と、マリ家のクレアでは優斗とはつり合わない。それは闇の教団と戦える戦力をマイナスにしているのと同じ」


「強くなっているよ。はじめとは比べ物にならないほどに」


「だが、壁を越えてないようだ。優斗はどうやって今の強さを手に入れた?」


「2年間の地獄の訓練。そっちは?」


「知識、効率、訓練かな。壁を超えるにはセンスが必要。そのセンスがあるかが、闇の教団と戦うバロメーターになる。だからあの二人のセンスをわたしが見極めてやる」


「言っとくけど、あの二人が負けても俺はそれを認めないぞ。少なくとも俺はマアニャとミイニャ、それに弟子のクレアに無限の可能性を見ている。ていうか、パーティー替えはしない」


「ほう。よっぽど好きらしいな」


「3人とも訓練を初めてまだ時間がたってないんだ。その成長速度は俺やカグヤ嬢より上だと思うけど」


「ふっ、だったらなおさら戦ってみたい。大丈夫、ケガはさせないようにするから。心配はしなくていい」


 心配するだろ。あんたは騎士団長より上だと俺は見てるんだからな!


「あんたのいう壁って、限界値のことか?」


「ほんとうに厄介な相手とは、戦闘中に壁を破るもの。別人の強さになる者だろ。それは相手が強ければ強いほど、追い込まれれば追い込まれるほど、いいと思わないか?」


 それってつまり、あの二人を強くするって意味に聞こえるが。

 意味深な笑みを浮かべてカグヤ嬢はお風呂場へ入っていく。話はここまでと言われている気がした。

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