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第12話「優斗と3人娘の鬼ごっこ開始」

 もうすぐ日が暮れる。王宮で夕食とフカフカのベッドは用意されているらしいので、宿をとる必要はない。ほんとうは先輩の言っていたセシスちゃんか、ちょっと話をしておきたいが、あいにく捜している時間が惜しいし、なるべく時間を無駄にしたくない。


 今度は第3訓練場を使わせてもらうことに。


 俺とクレアが石灰でラインを引いた。さっき武器強化をしてくれたケティって子に大会の舞台の大きさを聞いておいたのでそれより少し小さくラインを引く。


「ちょうど薄暗くなってきたし、視界に頼ってばっかじゃだめだしこれでいい」


「優斗、いったい何するのよ?」


「近距離戦闘が得意な人もいれば遠距離戦闘が得意な人もいる。俺は圧倒的に近距離が得意だけど。大会のルールはこの白線の中での、実際はもっと広いけど、その中での戦闘らしいんだ。3人とも俺をリング内で捕まえてみな。動きをとらえられなきゃ、攻撃を当てるのは無理だからな。3対1の鬼ごっこをやろうぜ」


「そういうこと」

「優斗君を捕まえる……」

「優君、クレアはこのままするの?」


 クレアには大会が始まるまで下手なこと(訓練)をやらせているんだ。


「ああ。そのまんまで。マアニャとミイニャ、クレアは魔法でも何でもありだ。俺からは攻撃しない。ただ避けるのみ。二刀流を使うとしたら身を守るときのみ」


「ふ~ん。面白そうじゃない。じゃあさ、最初に捕まえられた人にはやっぱりご褒美が必要よね。例えば今晩、優斗をどうにかできるとかさ」


 マアニャは心底嬉しそうに口元を緩める。可愛い……


「俺をどうにかって、何する気だよ? 第一、そんなのがご褒美なわけ……」


「優斗君を好きにしていい」


「優君を……きゃ~、クレアいけないことを」


 お三人さんはやる気がでたみたいだ。


「まあなんでもいいや。眼だけじゃ動きはとらえられないからな。せいぜい頑張ってくれたまえ」


 俺は白線の外にいるアルカに頷く。


「お姉ちゃん、ミイニャちゃん、クレアちゃん。不正したらお兄ちゃんが罰を与えるからね。えっと、しばらく口を聞かないって」


「不正なんてするわけないでしょ。正々堂々真正面から捕まえてやるからね」

「優斗君、覚悟はいいですね」

「優君、今のクレアの全力を見て」


 ふうと俺は大きく息を吐く。視界に捉えられるマアニャ、ミイニャ、クレア。

 これは3人の特訓であるが、俺の訓練でもある。


 アルカが笛を吹くと、クレアは俺の視界から逃れるようにじりじりと移動をはじめ、ミイニャはフェニックスの杖を手にし、マアニャは真っすぐに俺を見据えていた。


「優斗をどうにかできる権利は譲れるもんですか! 勝負、勝負」


 ファイラァを放ち、俺の視界をさえぎる作戦……ではなかった。

 炎の中から、ベリが飛び出してきて、火で覆われた肉球パンチを俺に放つ。


「おっと、なかなか策士じゃないか」


「パパ、捕まる気があるならママにしてくださいね」


「これは勝負だからな。あいつが捕まえられるならな」


 ベリのパンチをよけていると、凄い速度で杖が伸びてきて、俺とベリは慌ててそれを交わした。


「ちっ、猫ギツネ、なにを言っててるんですか! せこいですよ」


 足元に氷魔法が迫っていたので上へ飛ぶ。

 マアニャのやつ、抜け目がない。さすがに魔法の使い方が上手い。


「ミナザブレス!」


 飛んでる俺にミイニャの最大魔法攻撃。そうこなくっちゃな。剣を二本抜いて、ダメージを受けないようにミナザブレスを斬り、また剣を鞘に戻した。


「どうしたミイニャ、そんなもんじゃないだろ。遠慮しなくていいぜ。本気でいいんだ」


「わかってます。確かめたんです」


「攻撃はしないけど、俺は……」


 一気に速度をあげ、ミイニャのおしりを触り、捉え来ていないマアニャの死角から胸をつついてあげた。


「2人ともまずおさわり1回」


「このっ!」

 マアニャの裏拳をしゃがんで避けて、また距離を取る。


「いつの間に!」


 ミイニャは悔しそうにおしりを触り、マアニャは恥ずかしそうに胸を押さえた。


「お兄ちゃんが物凄い楽しそう。わかった! これはお兄ちゃんが3人を心置きなくからかえる鬼ごっこなんだ!10分たったら、アルカちゃんも参加するよ」


 恥ずかしいだろ、声に出して言わなくていい、参加したいならそうしたまえ。

 クレアが俺の視界にゆっくりと入ってくる。


「優君、動きは観察させてもらったよ。マアニャさん、ミイニャさん、すいません。優君はクレアが捕まえます。そして優君をクレアの好きにさせてもらって……クレアは優君の良妻になる!」


 クレアか。なんかつかんできてるからな。油断は大敵だ。

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