第11話「剣の強化とプレゼント」
「まみっち、急用?」
お店に小さなご主人と親しくしているのであろう可愛い女の子が入ってきた。
おっぱい大きいな。クレアとマアニャと同じくらいか。
「ケティちゃん、こちらのお客様の武器を強化してほしいの」
「お安い御用だよ~……んっ、越谷優斗君じゃん!」
この子もかよ!
「初めまして」
「カグヤさんの言った通り。へえ、間近で見るとカッコいいね。まみっち」
「うん……」
女の子にカッコいいと言われれば悪い気はしない。お茶でもご馳走してあげたいくらいだ。
「二刀流なんだよね。カッコいいぜぇ」
栗毛色の髪を少しカールしてある彼女は肘で俺をつついてくる。
「92点を上げたい」
「まみは97点です!」
「おお、まみっちも90点台とは高得点じゃん。近しい感じがするんでしょ」
「うん……」
何の点数なんだ?
ケティって子は、テーブルに置かれた二本の剣を眺め、
「剣と鞘、両方の強度を上げておくね。これは強化の砂、剣や槍を強化できる砂なんだよ」
彼女は鞘から二本の剣を抜いて並べ、その上に光る砂を振りかけると、両手を合わせテーブルに手をつく。
すると砂は剣と鞘にくっついたように吸い込まれた。
「土魔法の使い手ですか?」
ベリはふわりと浮き上がり尋ねる。
「うんっ。そうだよ。可愛い使い魔ちゃん」
土魔法……たしか、極めるのが一番難しいってソニアちゃんが言っていたような……
「もしかして、君も魔術の大会に出るの?」
「もちろん。優斗君は剣技の方かな? 間近で戦闘を見られるのを楽しみにしてるよ」
マアニャたちが勝ち抜くのがまだハードになったな。
☆ ★ ☆
どうやら4人は買い物を終えたようで、町をぶらついていた俺とベリを捜していたようだ。
「あんたは何迷子になってるのよ! すぐ終わるから待っていろって言ったでしょ」
民宿の店先で、マアニャが腰に手を当て、威圧しながら睨んでくる。
「迷子になんてなってない。町を見て回っていただけだ」
「見学ならあたしも一緒に行ったのに。デートストックがあるんだからね」
デートストック、ほう、そんなものが。
「そんなゆっくりしてる暇はないだろ。もう一回特訓しておこう。時間はないんだ」
「わかってるわよ」
「よおし、クレアももうちょっと頑張ろう」
ミイニャはマアニャの服につかまり、なぜか両目を閉じていた。
「ミイニャ、ケガしたのか?」
「いえ、心の中で私の使い魔をさっきからずっと呼んでいるんです」
さようですか。使い魔さんはお見えになってないようですけど。
「使い魔は探せなかったけど、ミイニャが装備できる武器なら手に入れたぜ」
俺は腰に差していた杖をミイニャに差し出す。
「これは?」
「フェニックスの杖。なんでもSランクの武器で。伸縮自在、魔法力が自動回復する優れたものらしい」
ミイニャは俺の言葉を聞き、心底驚いたようで目をぱちくりさせ、
「そ、そ、それはまさしく私が求めていた武器その物じゃないですか!」
「ああ。意外と早く手に入ったな」
「優斗君はやっぱり私にはなくてはならない存在。大好きです、愛してます!」
むぎゅうっと一目を気にせずに抱き着いてくる。
よしよしと頭をなでてあげた。
「優斗! あたしのは!」
おっかない顔でマアニャは俺を睨みつけてくる。睨み連発は久しぶりな気がするな。
「マアニャも必要だった? 初心者の杖があいにく2本しか持っていなくて」
「ふっ、愛されている差ですね。最高のプレゼントは私にこそふさわしい」
顔を上げたミイニャはどや顔でマアニャを見る。
ふるふると震えだすマアニャ。やばぃ……そこまで気が回らなかった。
「ミイニャにだけひいきだわ……」
「優君、クレアにはプレゼントないの?」
おう、ここにもいたか。クレアは悲しそうな顔で顔を伏せる。
「えっと、今すぐには無理かもしれないけど、武器や防具なら指定してくれればそのうちプレゼントするよ。他の物でもいいけど」
「じゃあ、あたし指輪がいい」
マアニャは途端に嬉しそうな表情をしてそんなことを言う。
「指輪……ってどんなの?」
「決まってるでしょ。婚約指輪もしくは結婚指輪ね」
「あっ、クレアも、クレアも指輪がいいなぁ」
「乳でかコンビは何を馬鹿なことを言っているんでしょうか? 優斗君から指輪をもらえるのは私だけなんですけど」
明後日にはパーティーを組めなくなるかもしれないというのに、気が気じゃないのは俺だけなんじゃないだろうな……




