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第18話「あなたは召使い、あたしはなに? つんつんマアニャ」

 大きな欠伸をして、マアニャはきっかり9時3分に2階から降りてきた。


 俺を一瞥し、忘れていたのかちょっとびっくりした顔になる。


 クレアが引いた高級そうな椅子に腰かけ、ぎろっとこちらを睨まれた。

 赤髪ツーサイドアップはすごい似合っているなと感じる。


(こええな、こいつ……迫力があるというか……)


「いいよ。お料理お出しして」

 クレアに承諾を貰ったので、


「よしきた」


 俺はマアニャの前に焼き目が付いた熱々のサンドとサラダ、それにヨーグルトフルーツを並べる。


「サンドは熱いから火傷に気を付けるんだぞ」


 俺の善意の一言を聞き、マアニャは


「あなたは召使い、あたしはなに?」


 なぞなぞみたいな問いかけをしてきた。


「……偉そうにしている怖い人」


「馬鹿か! 主でしょ。敬語、使いなさいよ。雇ってあげたんだからね」


「すまない。俺、敬語が苦手なのだよ。敬っているのは態度で示すから、お許しを」


「許すか! それにどうみてもあなたはあたしを敬ってはいないわ。クレア、ちゃんと教えなさい!」


「おいおい、クレアに怒鳴るなよ! カルシウムが足りてないんじゃないのか……イライラしても体に悪いだけだぜ」


「うるさいわね、この召使い……」


「牛乳だな、うん、体にもいいし、毎朝牛乳を飲ませようぜ、クレア」


 マアニャは高熱でもあるかのように小刻みに震えだし、


「飲ませようじゃないわよ! あたし、牛乳苦手なの!」


「牛乳、パンにも合うし体にいいのに……その割には……」


 ちゃんと発育してるようだ……


「……何を考えているのかすぐに当てられるわよ、召使い。もういいから。あなたたちも食べなさい」


 俺はそう言われたので、マアニャの向かいの椅子を引いて腰掛ける。


「……あのねえ……召使いは普通食べ終わるまで、直立不動してるのよ! けどあたしはそういうのが嫌だから、一緒に食べているの……そして、間を空けて座るのは常識でしょ!」


「だって、こんな広いテーブルだから離れて食べるの、淋しいだろ。生憎俺にはマアニャの知識は通用しない」


「偉そうに言うな! あと様を付けなさい、様を」


 パクリと俺が作ったサンドにマアニャは齧り付く。


「あら……美味しい……」


「それはどうもありがとう。バジルの風味と黒コショウがアクセントなのだぜ」


「料理が出来るとはねえ。他に特技が皆無か……」


「いちいち失礼だな、お前」


「どっちがよ!」


 クレアは恐々こちらに近づいてきて、


「あのっ……」


 お皿に盛られた料理を俺に出していいのか、許可を待つ。


「はあ……もういいわ。どこで食べても。美味しい朝食に免じてね」


「素直じゃないなあ、ツンツン属性なのか?」


「うるさい! 変なこと言うな!」


 申し訳なさそうにクレアは料理をテーブルに置いて、俺の隣の椅子に着席した。


「……クレア、手が空いたらその馬鹿に邸の中を案内してあげて」


「わかりました」


 はい、はい、はい。俺は馬鹿ですよ。そこはまったく反論しないでおいてあげよう。

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