第13話「クレア&双子姉妹との初対面」
「……」
目を開けられる。見知らぬ天井には電気がついていた。
「気が付いた! 大丈夫ですか?」
俺に声を掛けてきた女の子が……視線をそっちに向ける。
メイド服の美人……これは夢か……いや、天国かもしれない。
「……ここは……?」
「アイルコットンのミラ家のお邸です」
「アイルコットン? ミラ家?」
俺はゆっくりと上半身を起こす。特に痛いところはない。手を握ったりしてみたが感覚はある。
「俺はなぜ寝ていたの?」
「……お聞きしたいのは、こっちなんですけど。アイルコットン城前に倒れていたのを、運んでもらいました。主の許可は取ってあるのでご心配なく」
てことは、生きてるようだな。顔も出血はないみたいだ。
「……敬語、使わなくていいよ。おれは君の主じゃないし……助けてくれてありがとう」
「では……気が付いてよかった。ミラ家の召使い、クレアです」
「俺、優斗。越谷優斗……あのさ、いきなりこんなこと言うのもおかしいのはわかってるんだけど、手に触れてもいい?」
「えっ……触れるだけなら」
布団の上で手に触れてみる。白い手だ。白魚みたいな……
(この子……可愛い……2年もあのいかれたお姉さんしか見ていなかったし、接していなかったからな……異性の手に触れた記憶が思い出せないのはなぜだ? 触れるだけ、これだけで生きていてよかったと……)
「あのう……」
クレアは少し迷惑そうな顔でこっちを見た。
「あっ、ごめんね……えっとアイルコットンって言ったよね?」
「うん。ここはアイルコットン」
「栄えてる町?」
「少し行くと君が倒れていたアイルコットン城があるけど、ここは商店も並ぶ町って認識だよ」
初めてこの世界で町に来ることが出来た。
「声も可愛いね。美人だし」
「……ありがとう」
なんかナンパしてるみたいじゃないか……思ったことをそのまま言葉に。
やべえな、2年も地獄の生活をしていたからなぁ。女の子との接し方が……
ドアが開いて、赤い髪のロングと赤みがかった茶髪のウエーブショットの女の子が入ってきた。
どちらも美貌が凄く、一瞬固まる……
クレアを含め、目の保養になるな。まさかスキル発動してないよな……
クレアはさっと立ち上がり、二人に頭を下げた。
「その子が城の前に倒れていたって子?」
「はい、そうです」
赤い髪の美少女は眉間にしわを寄せながら俺に近づいてきて、やたらと観察を始める。
「身元と所持品は?」
「わかりません。所持品も持っていませんでした」
と、クレアが答える。
「何しに来たの? しかも一人で夜に……境界線を跨いできたなら通行証はどうしたの? 身元がわからないってことは、不法滞在者ってことになるけど……何かいいたいことがあるなら話だけは聞いてあげる」
「えっと……俺は優斗って者で、ここになんで飛ばされてきたのかはわからない。境界線っていうのが地上にあるならそれは跨いでない。空から飛んできたから……」
「飛んで来たって、魔法使いなの?」
「いや違うけど、一緒に居た年上のお姉さんに飛ばされたんだと思う」
「お姉さんねぇ……どんな人よ?」
「わからない……年上の綺麗な人ってことしか」
「説明が曖昧過ぎる。それで、はいそうですかとは信じられないわ」
でしょうね……
「なら見た目で判断してくれよ。どこの世界にこんな可愛い顔をした悪人がいる?」
「いるんじゃない。人を見た目で判断しちゃダメだって言うしね」
「おい! 見た目で判断していいケースだろ? 俺、どこから飛ばされたのかよくわかんないし、所持金はないし、行くとこもないんだよ。せめてここに飛ばされた意味がわかるまで、どこか住まわせてくれるとこはないかな?」
「図々しい子ね。ミイニャ、どう思う?」
「……嘘はついていない……と思う……けど、苦手なタイプだから、お姉ちゃんが決定していい。私、帰る」
「夜だろ、一人じゃ危ないんじゃないか? なんなら俺が送っていこうか……」
「あなたと居る方が、よっぽど危険な気がします! 来ないでください」
ばたんっと勢いよくドアが閉まり、茶髪でウエーブショートの子、ミイニャちゃんか?
即フェイドアウト……
あの子に何かしただろうか、俺?




