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第11話「双子姉妹とメイドさん②」

 しようとした行動……

 俺は数時間前のことを思い出す。


「ということは……えっ、えっ!」


「ため口召使いでいいから、明日からも仕えること。ミイニャ1人の召使いなんて、してあげるもんですか! あなたの敬語は虫唾が走るから、特別に対等での会話を許すから」


「……それは命令ですか?」


「命令よ。敬語止めなさい……それと、あたしの方こそごめんなさい。別にあれは罰のつもりじゃないから」


 少し慌てた表情……妨げなかったら、行っていたであろう行動……そういえばあんなに笑っているマアニャは見たことなかったな……


 ていうか、謝ってくれるの……もしかするとデレ始めているのでは!


「そんなに仲良くしたいのか! それならそうと言ってくれればいいのに」


「……調子に乗るんじゃないわよ、召使い。あたしはただ自分にも非があったから、誤解を解いておきたかっただけよ」


「さっきの限定で全面的に俺が悪かった。その行為を許してくれるなら握手をしようぜ。または妨げられた行動でもいいけど……」


「……」

 マアニャは視線を初めてそらし、俺の差しだした手を少し悔しそうに握った。


「チーズケーキとアイスレモンティです……優斗君、お客さまとのスキンシップは禁止ですよ!」


 マアニャの前にケーキと飲み物を出したミイニャは、ヒールで俺の足を踏みつながら睨みを利かせる。


「謝れと助言したのはミイニャだろ」


「手を繋いでいいとは言ってません! 優斗君をどうにかしていいのは私だけですから」


「えっ、なにそれ? ミイニャ、この召使いがそんなに気に入ったの?」


「気に入ったよ、お姉ちゃん。だから、ただこき使うだけなら、他の人雇ってよ。そうすれば優斗君は24時間わたしと一緒にいられる」


 これを聞いてか、さっとクレアは正面を見て立ち上がった。あまりに素早い動き……

 クレアは一瞬頭を抱え込み、それが済むとゆっくりとカウンターにやってきた。


「マアニャさま、ご無礼かもしれませんが、こっちに座ってもよろしいですか?」


「えっ、いいけど……」


 許しを貰ったクレアはふうっと息を吐いて、マアニャの右隣に腰を下ろす。


「お姉ちゃん、優斗君をわたしだけの召使いにしてもいいでしょ?」


「……」

 鋭い視線がこっちに。妹をたぶらかしてんじゃねえと言われている気が……


 悪いけどその視線からは逃れさせてもらう。


「クレア、注文は? 朝のお礼に俺がご馳走するよ」


「ほんと! 優しいね、優くんは……」


 ちらっと、ほんの一瞬、その視線は双子姉妹を見た気がした。


「……」


 そして、馴れ馴れしいその呼び名に反応したかのように、マアニャとミイニャはクレアを見る。


「なんだよ、優くんって? いつもみたいに君でいいよ」


「それじゃあ、もうダメ!」


 めっ! と叱るように、諭すように言われました。


「クレアなら、なんとでも呼んでくれてかまわないけど……」


「優君。じゃあ、ホットケーキ2枚に、アイスのカフェラテをください」


「かしこまりました」


「お姉ちゃん!」

 ミイニャは声を大きくして、俺たちを見ていたマアニャに視線を戻させる。


「えっと、何だったかしら?」


「だから優斗君を私だけの召使いにしたいから、お姉ちゃんのお世話とか邸の管理は人が足りないなら、新しく人を雇ってというお願い」


「ミイニャ1人の召使いなんてしてあげるもんですかって言ったでしょ。それが本音よ」


「もしかしてお姉ちゃんも優斗君のこと気に入ってるんじゃ……」


 じっ~とまた怖い視線がこちらに……

 真ん前にいるクレアは両手をぎゅっと握って震えていた。


「どうかしたのか? 具合悪いとか?」


 作業する手を止めずに俺はクレアに尋ねる。


「あの……優君は、お邸で必要な人です。視野が広いし、色々気づいてくれて、よくマアニャ様を見ていて……料理も上手だし、楽しいし、バートンさんとも仲良しですし。だからその……来なくなってしまったら困ります……」


「クレア……あなたも」


 ミイニャはザ・メイドさんを見て眉間にしわを寄せる。


「つまりクレアは、このままあたしの召使いも続けてほしいってことね」


「はい……口を挟める立場でないのは承知していますが、すいません……」


「別に立場よ。あたしは誰の意見に対しても耳を傾けるし。ミイニャ残念。邸に仕えるメイドさんのご希望は叶えてあげないとね」


「ううぅ……」


 ミイニャは獣みたいなうめき声を挙げたかと思ったら、またヒールで俺の足を踏みつける。

 今度は全然優しくなく痛かった。

次話から2カ月前の話になる予定です。


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