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第37話「その子は俺をパパと呼ぶ」

 使い魔。魔法使いに仕える精霊、もしくは動物。


 主の魔法力や資質、未来に引き寄せられる。生息地などは不明で見つけようにも手段が確立されているわけではないので、向こうからやってくるのを待っているしかないのが実情。


 魔法使いの書、おまけページにはそんな感じで記されていた。


「にゃあん!」


 可愛らしくそいつはまた泣いて、抱かれている主であるマアニャの胸にすり寄る。


(ちっ、そんなことしていいのは俺だけなんだ……猫だかきつねだか知らないけど、可愛さは正義じゃねえぞ! 特権使っていいことしてるんじゃねえ)


 なにやらにやけた顔でマアニャはこっちを見る。


「なに、使い魔ちゃんに嫉妬心燃やしてんのよ!」


「……燃やしてねえし……」


 ダメだ、俺すぐ顔に出てしまうらしい。


「きつね猫さん、可愛い!」


 クレアは顎をなでなでして、


「私には使い魔来ないのでしょうか?」


 ミイニャはそいつの体を優しく撫でる。


「名前はなんて言うん?」


 ソニアちゃんはその動物に尋ねるが、答えられるわけないだろ。喋れないんだから……


「べリグド」


 ………………はっ、今喋った?


「べリグドはマアニャの使い魔になりたいんな?」


「はいです」


 喋ってるね。ちゃんと喋ってる……


「使い魔は言語を理解して、発せられるんよ。IQも高いん」


 と、ソニアちゃんは俺に説明してくれる。

 何でもありだな、この世界……


「マアニャもいいんな?」


「うん……優斗が嫉妬しないならね」


 今にも吹き出しそうな顔で俺を見るな……


「何を馬鹿な……俺がネコぎつね殿に嫉妬など……」


「目が泳いでるんな、完全に動揺してるん」


 うるさいな……ずっと抱かれてるとかいかんでしょ!


 べリグドはふわりと宙に浮いて、俺の前に来る。


(飛べるのか……)


「何か勘違いをされています。ベリはメスですよ」


「……」


 メス! てことは女の子ってことですかい!

 見た目じゃわかんないんだよ。もうちょい早く言ってほしいね。そういわれれば可愛い声をしてるな。


「だろうと思ったぜ。ベリよ。俺は優斗。よろしくなのだぜ」


「こちらこそです。優斗さま」


 前に差し出された肉球を掴む。やべえ何とも言えない感触。メスね。女の子ね。OK、オーケー。


「変わり身速いんな」


 ソニアちゃんは杖で土の部分に魔法陣らしきものを描いて、


「中に入るん。マアニャとべリグド」


 陣内と入った二人。二人が静かに目を閉じると、魔法陣は輝きだし、筒状を帯びた光に包まれて、やがてその光はマアニャとベリに吸収されていった。


「契約は終了したんな。べリグドはマアニャの使い魔になったん。挨拶するんな」


「べリグドです」


 宙に浮いた猫ぎつねは俺たちを見回して、ぺこりと丁寧なお辞儀をした。


「予知、浮遊、真贋、追跡、強化、魔力攻撃、魔力防御7つの力を少しずつ扱えます。マアニャ様の力をさらに強化することも可能でお役に立てるかと思います。得意属性は火です」


 超有能そうだな、おい。


「クレアです」


「ミイニャ。お姉ちゃんと双子ね」


 クレアとミイニャが自己紹介を終えると、


「あのマアニャ様、優斗さまはマアニャ様にとって旦那様と言う認識を、ベリは持っています。お間違いないでしょうか?」


「はあ?」


「えっ!」

 と、ミイニャ&クレアが反応する。


「えっ! う~ん、そうね。それで大正解。認識を改める必要はないわ」


 マアニャは物凄く楽しんでいるようで、口元を緩めっぱなしだ。


「はいです。じゃあパパとママって呼びますね」


 パパにママ……マジですか、ベリちゃん。


「完全に間違った認識ですけどね……なんですか、このネコぎつね……全然可愛くありません」


「IQ高い割には、全然見当はずれなことを。ちょっと太り過ぎてるかな。過酷なダイエットが必要かな……クレアが過酷なダイエットメニュー作ってあげようかな」


 さっきまであんなに可愛い、可愛い言っていたのに……この二人も変わり身速いな。


「ベリちゃん、なんていい子なのかしら。パパとママの言うことちゃんと聞くのよ」


「はいです。パパも遠慮しないで教育してください」


 えっ、マジで俺パパなの!



 マアニャはべリグドとの強力魔法をソニアちゃんから伝授され……



 俺たちはスイートルームへと戻り、本日の予定は終了した。

 いや、このカスラニクスでの目的は遂げたと言ってもいいか。


 ネコぎつねのべリグド(ベリ)がマアニャの使い魔に(パーティに加わり)、俺たちをたまにサポートしてくれるであろうソニアちゃんと仲良くなりました。

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