第35話「無念……」
例の街外れの祠近くには、ソニアちゃんともう一人女の子がいて……
どうやら話を聞くと、俺たちが闇の騎士を倒して拘束したことが気に入らないらしい。
「君、その場にも居なかったよね。あとから文句言うなら、自分で戦って何とかすればよかったんじゃないの。それにたぶんAランクの君1人じゃ、あの3人の相手は無理だと思う。そもそも戦闘意欲があったのか疑問だし、高ランク者を優遇しているのをいいことにこの街に居座っていただけなんじゃない?」
「たまたまやっつけられたからって、調子に乗らないでもらえます!」
「たまたまじゃないよ。百回戦えば百回とも勝てる実力があるし」
俺は外していたバッジを見せれば納得してくれるかと思い、ゴールドバッジを指で掴んで見せてあげる。
「金バッジ、ランク最上位……何者ですか?」
「ランク分けなんて俺嫌いだけど、この街は今日が終われば平和になると思うぜ」
「あなたがモンスターも何とかすると?」
「いや、俺たちがだけど……」
「見たところ、他の方は最低ランクじゃありませんか……」
バッジを付けていないと最低ランクと言う解釈らしい。
「ここに到着したときのランクだからね。三人合わせれば、君よりも強いと思う」
「聞き捨てなりませんね。Gランク三人なんて相手にもなりません」
「試してみれば。すぐに後悔すると思うけど」
俺は今にも殴りかかっていきそうなマアニャをずっと見ていたので、この場を三人に任せることにし、ソニアちゃんに手招きされていたのでそっちに移動する。
「体力も精神もゆっくり休息して、次戦までに完全回復しておくんよ。もうあの3人はある程度の相手までは任せていいん。それが信頼なんな」
「うん……」
戦いだした3人を見て俺は頷く。手加減して戦えと助言しなかったけど、大丈夫かな?
「わたしも今日は少し昼寝するんよ。夜までもつように」
「ねえ、ミイニャには伝授したみたいだけど、マアニャには何か強力な魔法教えていないの?」
「教えるつもりなんよ。今夜に。現れる魔物について、聞いただけでの優斗の推察を聞かせてほしいんな」
「えっ……えっと、大きいモンスターって言っていた割にはさ、街に足跡1つ残ってないんだよね。荒らすわけでもないらしいし。悪い魔物じゃなさそうだなっていうのが、話を聞いた限りでの俺の印象だよ」
「結構鋭いんな、頭いいん優斗は……」
「いや、馬鹿だと思うよ。その証拠に、出来れば俺はそのモンスター仲間にしたいと考えているのだぜ」
「ふっ、はは……面白いこと言うんな。ある意味じゃ大馬鹿の方が人間って魅力的なんよ。クールだけじゃモテないんな」
ピンクのお団子頭の園児にしか見えないその子は大人みたいなことを言う。
「ソニアちゃん、年はいくつなん?」
「女の子に年齢を尋ねるべきじゃないんな。年上にモテなくなるんよ」
「う~ん、それは困るな。俺、年上女性は結構好きなんで」
「特別に教えてあげるん。優斗やおてんば二人より10歳年上なんな」
見えねえ……
「あり得ないくらい若く見えるよ」
「嬉しいんよ。例の大魔法の訓練は毎日少しずつやっていくんよ。焦らずやっていけば形になっていくん」
「うん」
俺が頷いた時、自称Aランクの子がこっちにかけてきて、俺の後ろに隠れる。
「もう勘弁してください。負けです、私の負けです」
「だから言ってのに……あの3人は一気に強くなってるんだ。ランク気にし過ぎで、舐めすぎなんだよ」
「優斗、ちょっとどきなさい」
「優斗君、どいてください。とどめはきちんとさします」
戦意を失っているのは明らかだろうに……マアニャとミイニャは怖い顔で近づいてくる。
「特にあの二人は容赦しないから気を付けたほうがいいんだ」
「戦う前に教えてください!」
仮に教えても戦っただろうに……
Aランクの女の子に平謝りさせて、なんとかその場を収めた。
この後、俺たちはソニアちゃんがお昼寝をする前に飛行魔法を教えてもらったが、飛ぶことが出来たのは魔法使いのマアニャ一人だけで、俺を含めて3人は浮くことさえ叶わなかった。
浮遊することは、ある種夢である。
無念だ!




