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第29話「今よりも強くならないといけない訳」

「闇の騎士団は何人だ?」


「ここに来るのは3名です。総数はもっと多いと思いますが、3人しか現れたことはありません」


「てことは、拠点が近くにあるんじゃなく、その3人がこの場所で勝手やっていると考えるべきか……この街にくる目的は?」


「女の子を攫うためと、食料などの確保です」


「怒りを抑えるのが困難なことやってくれんじゃねえの。来る日時や時間に法則は?」


「火曜日の夜8時ごろ」


 えっと曜日感覚が……


「今日は何曜だっけ?」


「日付が変わっているので火曜日です」


「てことは今夜か。待たないで済む……よし、満月はいつだ?」


「明後日ですね」


「いいね。ご都合主義みたいな展開だ。魔物の方は何しにどっからくるんだ?」


「わかりません。ただ街を壊したりはしないで、ただ歩き周って鳴き声を上げているみたいです」


「じゃあ倒さなくてもいいじゃないか? はっ! もしかして仲間になってくれるデカモンスターかもしれないな」


「優君、魔物の言葉わかるの?」


「いや、敵意が読めるくらいで、言葉は解読不能。魔物の方は見てからでないと何とも言えないし、倒すにしろ他の手段を取るにしろ……とにかく闇の騎士を倒せばいいんだろ?」


「はい……魔力を扱えるので気を付けてください」


「闇の教団と一緒か……骨のあるやつらがいいな」




 5時にスイートルームにクレアと戻り、俺はベッドに再び入り、マアニャを抱き枕のように抱きしめて目を閉じる。

 バレないだろ……降りかかる火の粉は全部俺が粉砕するからこのくらいはお許しを。



 翌日の午前中から訓練は開始される。


 この街はゆっくりしていられる雰囲気ではないし、明日の夜には目的を終えられるかもしれない。マアニャとミイニャは個人修行、その間に俺はクレアに剣術を1時間教え、その後ソニアちゃんとの個人レッスンに入る。


「体調は万全なんな?」


「おう。ソニアちゃんはぐっすり眠れたの?」


「あたり前なん。10時間は眠れるんよ」


 子供だ……


「あっ、そうだ。始める前にさ、でっかいモンスターで敵意のないやつなんているかな?」


「何の話をしてるん?」


「いや、この街満月になると、そのモンスターが来るらしいんだよ」


「たぶんそれはそこの祠があるからなんな」


「……えっ、何か知ってんの?」


「知識のある魔法使いなら誰でもわかることなんよ。明日が満月なん……わたしも頑張って夜更かししてその場にいてあげるんよ」


「マジか。それは心強いぜ」


「他には何かあるん?」


「闇騎士について、何か知ってる?」


「騎士団を脱退して、集まった落ちこぼれなんな。そんな言葉使うの嫌いだけど、落ちこぼれなん。人は誰かを守ろうとするから、強くなれるん。自分の私利私欲のためじゃ底が知れてるんよ。その点、優斗は太鼓判を押せるん。だから大魔法を授けるんな」


「今夜、連中が来るらしいんだ」


「ならコテンパンにやっつけるんな。完膚なきまでに叩き潰すん」


「うん……よし、じゃあ待ちに待ったぜ大魔法、教えてください」


「優斗は魔法術式を3つ持ってるん。大きさは小さいから、1つで強力魔法を唱えるだけのスタミナはないんな。だけどその利点を最大限に活かせばすっごいのが出来るんよ」


「すっごいの……」


「剣士だからって魔法が使えてもいいん。むしろ剣だけではこの先、目的までは達せないんな。優斗は強いん、でも闇の教団は恐ろしいんな。優斗の強さを知れば、必ず対策対抗手段を講じるん。だから対面したら、必ずその場で逃がさずに倒すん。そして次の時には、前回の戦闘時より絶対に強くなっているんよ」


「今よりももっと……いやでも、自分で言うのもなんだけど、2年間の訓練で腕は相当上がってるよ。アイルコットンで、騎士団長のおっさんと剣を交えた時も負けている気はしなかったし……そんなにやばいの、闇の教団?」


「わたしも何度か戦ってるんよ」


「でもソニアちゃん余裕そうじゃん。ピンピンしてるし」


「今のところはなん。優斗、倒せるなら大技はなるべく温存しておくん。余計な情報は与えてはダメなん」


「……戦闘の様子は監視されているってこと?」


「そうなん。今の優斗の強さなら何連戦かで対策を講じられても、対処は可能だと思うんけど、肝に銘じておくん。そしてあの伸びしろがある3人も鍛え上げるんな。最強パーティで挑めば、勝てない敵はいないん」


「うん……」


「そこまで考えこまなくてもいいん。優斗一人で立ち向かうより、守るべき3人が居た方が絶対強いんな。わたしも力を貸すんよ」


「ありがとう」


「話を戻すん。3つの魔法を同時に放つのが、大魔法なん。炎、水、風、最弱魔法3つでも合わされば物凄い大魔法になるん。ミイニャに教えたのは2つの混合魔法で、あの子のうんのよさを最大限に活かしたものなんよ……ミイニャと違って、魔法に関しての訓練をしてきてない優斗にいきなりの大魔法は無理なん。だから、少しずつ魔法を体にしみ込ませながら教えていくんな」


「わかった」


「じゃあまずは指先3つにそれぞれの魔法を留めることから始めるんな」

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