第4話 お嬢様と初めての友人
今日もお嬢様と学院へ行きます。
学院に着くと、お嬢様は今日も机に座り、予習を始めます。
その様子を私は眺めているのです。
「あの…花園。」
「何でしょうか?」
「その、視線が気になります。」
「申し訳ありません。」
熱心に見過ぎたようですね。
仕方がないので、教室を見ていますか。
普段通りの教室ですが、1つだけ違うことがありました。
こちらを見つめている方がいますね。
確か、花房 桃羽さんでしたね。
「…っ!?」
私の視線に気づいたのか、花房さんは俯いてしまいました。
花房さんの使用人の芽津さんが何かつぶやくと、花房さんがこちらをもう一度見ると、再び俯いていますが、こちらに向かってきました。
「っおはよう、ございます…」
「…」
何故、私の前で挨拶をするのでしょう?
お嬢様は予習で気づいていらっしゃいません。
私がお嬢様に声を掛けようとすると、芽津さんに止められました。
「あの、申し訳ございません。花房お嬢様は、花園さんに挨拶したいようなのです。」
「…私にですか?」
「はい。」
「そうでしたか…」
使用人に対して挨拶をしたいとおっしゃられる方は初めてです。
ですが、返答しないのは失礼でしょう。
使用人がいるということはお嬢様ですね。
「花房お嬢様、申し訳ございません。私などにご挨拶をして頂けるとは露ほどにも思っていなかっもので。無礼をお許しいただけますか?」
花園さんは、何度も顔を上下に振ります。
勢いがよすぎる気がします。
首が痛くなってしまわないでしょうか?
「っ…」
案の定、首を痛めてしまったようです。
大丈夫なのでしょうか?
芽津さんに顔を向けると苦笑いしていました。
「大丈夫です。花房お嬢様は、人見知りが激しいのです。」
「なるほど。」
話しかけるたびに首を痛めているのですか。
その人見知りは一刻も早く治した方が良いと思います。
「おはよう、ごさいます。」
「…はい。おはようごさいます、花房お嬢様。」
いきなりもう一度挨拶をされたため驚いてしまいましたが、私からも挨拶を返しました。
顔を赤らめて、俯いてしまいました。
ですが、口元が緩んでいるのが見えます。
その様子を見守っていると、芽津さんが話しかけてきました。
「その、花園さん。出来ればで構わないのですが、お嬢様が挨拶をされた時は返事を返していただけますか?」
「畏まりました。当然のことですから、構いませんよ。」
「ありがとうございます。」
芽津さんが頭を下げられています。
この状態は、周りの方を誤解させる恐れがあるのではないでしょうか。
「頭を上げてください。それほどのことではないですよ。」
そう言うと芽津さんは頭を上げました。
「お嬢様をよろしくお願いします。」
「はい。畏まりました。」
そう言ったところで思いつきました。
私は華恋お嬢様に話しかけます。
「予習の最中に申し訳ございません。お嬢様方のお時間をいただけないでしょうか?」
「花園がそういうのは珍しいですね。どうされたんですか?」
華恋お嬢様はこちらを振り向かれた。
私と、私の後ろにいる花房お嬢様と芽津さんに気づいたようです。
「…花園、そちらの方は?」
「花房お嬢様と芽津さんです。」
私が考えたのは花房お嬢様に華恋お嬢様の友人になっていただくことです。
華恋お嬢様は、友人と呼べるほど親しくされている方がいらっしゃいません。
花房お嬢様は今までお嬢様に媚を売っていたりしていませんでしたから、もしかしたら初めての友人になって頂けるかもしれません。
「おはよう、花房さん。」
「…っ!お、おはよう、ございます…」
「そんなに緊張することはないわ。同級生でしょう?」
花房お嬢様は緊張していますが、華恋お嬢様が話しかけています。
お嬢様も同級生と話すのは楽しいのでしょう。
授業が始まるまでの数分の間、お嬢様方は楽しそうに会話をなされていました。
授業が終わるたびにお2人で話していらっしゃいました。
意気投合したのでしょうか。
7時限目の授業が終わると、華恋お嬢様が話しかけてきました。
「花園、これから桃羽が家に来てもいいかしら?」
「麗華お嬢様と琴音お嬢様に連絡いたしますね。」
お二人とも快く了承してくださり、お嬢様の車に乗り、お屋敷に向かいました。
お屋敷に着くと、華恋お嬢様は桃羽お嬢様を自室に連れて行きました。
私と芽津さんで、お菓子と紅茶をお運びしました。
「花園、ありがとう。2人で話したいからもう来なくていいわ。」
「畏まりました。」
「芽津さんも、お願い。」
「畏まりました。」
華恋お嬢様と花房お嬢様に私達は来なくていいと言われてしまいました。
2人で苦笑いを浮かべます。
「どうしましょうか。」
「何か手伝うことはありますか?」
「手伝って頂けるのですか?」
「ええ。手持ち無沙汰ですから。」
「ありがとうございます。終わったら私達も紅茶を飲みましょう。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
業務を2人でこなしたこともあって普段よりかなり早く終わらせることができました。
先程の会話の通りお菓子をつまみながら、紅茶を飲んでいます。
「芽津さんはよく紅茶を飲まれるのですか?」
「いえ、私は花房お嬢様の影響もあり、緑茶や抹茶が多いですね。」
「抹茶ですか。苦いと聞きますがどうなのでしょう。」
「慣れれば美味しく感じるようになって来ますよ。」
「なるほど、慣れですか。機会があれば飲んでみたいですね。」
「でしたら、こちらのお屋敷にもいらしてはどうでしょう。ご馳走しますよ。」
「本当ですか?華恋お嬢様と花房お嬢様は仲良くなられたようですから、そう遠くないうちにご馳走になるかもしれませんね。」
その後は、どこの物が美味しいかなどや使用人の大変なところなどを話して盛り上がりました。
仲良くなって下さったお二人に感謝です。
これで書き終わっていた分は終わりです。




