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メイドは今日も共に行く  作者: 緋月 夜夏
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第2話 お嬢様の使用人の家系

 私の家ーー花園家は代々聖家に仕えてきた家系です。その歴史は数百年にも届くと聞いています。花園家は代々護衛を行ってきました。その護衛の内容が、今の私、花園 未玖の状況なのです。


 花園家に産まれた子供には特殊な力が備わります。いつからなのか、何故かという疑問が晴れることはありませんがいつの間にか備わっている家系だったということです。備わっている力は、常に《矛》と《盾》のどちらかでした。


 《矛》の力は、攻めること。

 武器を作り出す、身体能力を上げる、火を出すなど相手を倒す事に特化していました。


 《盾》の力は、守ること。

 相手の攻撃を逸らす、反射する、罠を仕掛けるなど、相手から身を守る事に特化していました。


この力を使い、数世紀に渡り聖家を守ってきました。

ですが、花園家にはもう2つ、他の家と違うことがありました。それは、男のみ産まれること、そして全員の外見が女性のようであったことです。


 16歳を迎えるまで、身長は155㎝前後までしか伸びず、変声期もきません。体の線も細く、骨格や筋肉のつき方も女性と同様でした。男性ではあるので当然、ついてはいます。


 そして、16歳を過ぎると急激に男性に近づいていきます。


 これは、特殊な能力の代償なのでは、と考える方もいらっしゃったようですが、確証はありません。

 この花園家の特徴を知った昔の聖家の当主様が考案されたのが、「女装使用人」というものです。


 「女装使用人」を採用した花園家は、それを行うにあたっての掟を作り、現在まで受け継いできました。


1.女装使用人は、主人と年齢の最も近い人を選ぶ。

2.女装使用人は、ただ1人にのみ仕える。

3.女装使用人は、普段は一般の使用人として仕える。

4.女装使用人は、いかなる方法を用いても主人を守る。

5.女装使用人は、容姿が変化し始めた場合にのみ、自身の主人にその存在を伝える。

6.女装使用人は、聖家を除く他家にその存在を知られてはならない。

7.女装使用人は、主従が続く限り、主人と婚約してはならない。


 掟はこのような内容となっています。

 そのため、現在、私が男であることを認知されていらっしゃるのは、私の親族と当主様のみです。


 このような家に産まれた私は、当然女装使用人として教育を受けました。正しい言葉遣いや効率的な物事の進め方、お化粧の仕方などを教えられました。7番目の掟を守るために、お嬢様方とは姉妹のように遊びました。


そして、5歳の時に適性検査をしました。何故か私には《矛》の力と《盾》の力の両方に適性がありました。


 その結果は、私の親族をひどく驚かしたそうです。どちらか一方にしか適性が現れないと伝えられてきた中での両方に適性を持ち、髪の白い子供。どのように成長するのかもわからず、反旗を翻したなら甚大な被害が出ることが予想される。私を子供のうちにいなかった事にしよう、と提案した人もいたようです。

 ですが、最終的には貴重な両方に適性を持つ人間の子孫にはその特性が受け継がれるのでは?と《矛》の力と《盾》の力の両方を伸ばす事にしたらしいです。


 最初に知識を手にいれ、力を使えるようになったら、模擬戦をしてさらに高めていきました。両方の力に適性がある私でしたが、一方の力でも他を圧倒してしまいました。多くの人が私の陰口を言っていましたが、いつの間にかそのようなことは気にならなくなりました。


 成長した私は、7歳の時に正式に華恋お嬢様に仕える事になりました。

板橋さんとはこの頃からの付き合いです。


 お嬢様に仕えてから2年後、私の両親は、行方不明になりました。悪い想像は尽きませんでしたが、私の父は《盾》の力を持っているのでおそらく無事でしょう。

 私がそう願いたいだけかもしれません。


 お嬢様が星庭女学院へ入学が決まりました。この頃からお嬢様はとても頭がよろしかったのです。そして、私も学院に通う事になりました。


 私はいつか、お嬢様に男だと伝えなければなりません。

どのような結果になるのかは分かりませんが、私は華恋お嬢様、いえお嬢様方の力となりたいのです。


 主人と使用人の関係であっても、幼い頃から見ているお嬢様方を妹のように感じています。おこがましく、不敬かもしれませんが、そのように私が考えてしまっている以上、簡単に変えられる訳でもありません。


 私の中で妹のように感じている彼女達が健やかに成長なされるよう、私も頑張りたいと思います。

主人公の事についてでした。


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