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メイドは今日も共に行く  作者: 緋月 夜夏
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第25話 お嬢様と初依頼完了

サブタイトルも難しいです。

 昼食を食べつつ、皆さんが無事でよかったと思うと共に、再び申し訳なさを感じました。


「あの、橘さん、先程は本当に申し訳ありませんでした。」

「…ですから、大丈夫です。人間得手不得手があるんですから、気にしないでください。」

「…はい。」

「未玖ちゃん未玖ちゃん、そんなことよりね!魔法使ってみたんだよ!」


 妙にテンションの高い真智さん。…いつもと変わらないかもしれません。


「思ってたより使いやすいから、慣れておいて損はないと思う。」

「そうでしたか。危険性はありませんか?」

「多分?自分が出した火も熱くなかったし。」

「…よかったですね、麗華お嬢様。使用しても良さそうですよ。」

「はい!…あ、え?き、気づいていたのですか?」

「はい。『魔法』という言葉に一番目を輝かしておられましたから。」

「あ、あはは…」


 照れていらっしゃるようです。琴音お嬢様や花房お嬢様、あとは真智さんも楽しみにしていたように見えましたから照れる必要はないのですけどね。


「そういえば、真智ちゃんだけ使える魔法の種類が多かったのよ。」

「あっ、そうそう、12個も使えるんだよ!」

「真智さんに適性が多くあったからでは?」

「真智ちゃん以外は1つの適性に対して1つなのよね。」

「…なるほど。」


 私も1つずつのようです。真智さんが特別なのでしょうか。


「まずは梨原さんに魔法に慣れてもらい、その後お嬢様方に教えていただきましょう。」

「そうですね。魔法が失敗してお嬢様方に何かあってからでは遅いですから。」

「…それって私ならいいってこと?」

「頑張ってください、梨原さん。梨原さんなら大丈夫です!」

「芽津さんまで!?みんな酷くない?」

「安心して、真智ちゃん。骨は拾ってあげるから!」

「早奈恵ちゃん?冗談になってないからね?」

「お嬢様方も試すのは暫く待っていただけますか。」

「ええ。怪我はしたくないわ。」

「…我慢します。」

「未玖お姉ちゃんの言う通りにする〜。」

「はい。わかりました。」

「…そういや、花園ちゃんはなんで蛞蝓が苦手なんだ?」

「…」


 皆様が板橋さんになんとも言えない視線を向けます。私も視線で今聞きますか、と訴えます。


「いや、気になるだろ?凄え勢いで走ってったよな?」

「苦手なので。」

「いや、それはわかるんだけどよ?花園ちゃんに屋敷の庭で育ててた野菜採って来てもらうことあるよな?そういう時どうしてたんだ?」

「何をですか。」

「いや、蛞蝓だよ。」

「お屋敷の敷地内にはいませんよ。」

「は?いや、いないってことは…」

「いませんよ。しっかりと駆除しましたから。」

「そ、そうか。」

「はい。お嬢様方の身に何かあってからでは遅いですから。」

「…」

「なんですか。」

「いや、なんでもねえよ。」


 苦しいのはわかっていますが、完全に嘘というわけでもありませんからね。


「で、話は戻るけどよ。」

「はい。」

「なんで蛞蝓が嫌いなんだ?」

「…そこに戻るのですか。純粋に見た目です。」

「見た目ってそんなにか?」

「はい。あと粘液で覆われているところも嫌です。あの、この話は面白いのでしょうか。食事中ですし。」

「花園ちゃんのこういう話は聞いたことがなかったからな。」


 お嬢様方も頷いています。花房お嬢様は合わせなくても良いのですよ。


「見た目がそんなに嫌なら駆除の時も大変だったんじゃないか?」

「はい。無心で消しました。」

「…」

「…失礼しました。言い間違えです。無心で対処いたしました。」

「そ、そうか。あー、それにしても美味いな、これ。」

「ありがとうございます。」

「見た目は違うが食材自体としては扱ったことあるやつばかりだな。慣れれば大した手間にはならないか。」

「はい。基本無農薬なのか質も悪くありませんでした。」

「…よくそこまでわかるな。まだ余ってるか?」

「はい。ひとまず隣の部屋に置いてあります。」

「わかった。夕飯は俺に任せてくれ。」


 やはりお嬢様方も食べ慣れた板橋さんの料理の方が良いでしょうしね。


「さて、午後の外出は禁止しますので、明日の予定を決めましょうか。」

「橘さん、先程食材を購入した際に図書館を見かけました。」

「そうでしたか。それは僥倖です。でしたら、明日は全員で図書館に向かいましょう。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 昼食を食べ終え、食器を片付けます。この食器も食材と一緒に購入して来ました。

 午後はどう致しましょうか。娯楽もありませんし、お嬢様方は退屈でしょう。 談笑するにしても何か簡単なお茶菓子でも作りましょう。紅茶もなんとか誤魔化せるでしょう。


「板橋さん、少しいいですか。」


 板橋さんにも手伝っていただきます。


(お砂糖などは高かったため後々に残しておきましょう。)


 味見した果物を使いながら、何を作るか板橋さんと相談していると、叶実さんを手伝ってくださることになり、3人で何種類か完成させることができました。

 お嬢様方も橘さん達も美味しそうに食べていただき、私達はもう1度同じものを作り始めました。

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