死体と現実
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
なにこれなんなの!? こ、これってあれよね、じ、自殺ってやつよね!? なんでなんでなんでよりにもよって私の目の前に落ちてくるの無理無理無理見れない目開けらんない怖い怖い怖い怖い怖いこわ__
「あ、あの......大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけないでしょ! 目の前で人が死んだのよ、冷静でいられるわけがないじゃない!」
「え、女の子って......誰のことですか?」
「はあ!? 今目の前、で......あれ、いな、い?」
抱え込んでいた頭を上げ、女の子が落下したであろう場所に視線を向ける。確かにあったものが無い現実に驚くと同時に、周りの視線が自身に集中していることにやっと気づいた。
「ごめんなさい、疲れてるみたい......。」
赤面を誤魔化すように視線を下に向けたまま声をかけてくれ生徒に言うと、ふわりと優しい笑顔を返してくれ、それが逆に居た堪れなかった。
早く、早く、まりと有が一瞬でここまで来てくれればいいのに。そんなことを思いながら通り過ぎざまに嘲笑してきたクラスの男子を思い切り睨みつけてやった。
「お待たせ~!」
「遅いっ! ほら、早く行くよ!」
「え、なになにどうしたの? そういえばさっき悲鳴みたいなの聞こえたんだけど、なんかあったの?」
「なんもないから、兎に角早く歩いて!」
わけのわからないという顔をする2人の手を引いて急いで校門をぬけた。
わけわかんないのはこっちのほうだ。確かに見たんだ、確実にそこにあった。だけどそんな現実は綺麗さっぱり消し去られたかのように本当は何も起きていなかった。酷いリアリティに、思い出すだけで吐き気がした。