雨の日に考えること。
雨降ったり、とりあえず気圧が急に変わると頭痛くなります。
偏頭痛持ちは辛いです。
先生の声に混じって雨の音がする。
耳をすませなくても聞こえるぐらいに。
──大雨である。
普段通りの雨ならシャーペンの音やらチョークで黒板を擦る音やらでそこまで気にならない音量だけど。
窓の外を見下ろすと校庭が見える。
うちの学校の校庭は水捌けが悪いから水が溜まってる。
だからと言って大きな水溜りというのはしっくりこない。
トラックは川のように。
野球部が使う土が見える場所は中途半端に丘を作って周りは水没してる。
サッカー部が使う芝生のある場所は池の中の水草のように水面下に芝生が揺らめく。
コンクリートには水溜りという名称に相応しい、それこそ水溜りが見える。
そして、窓ガラス。
風向きのおかげなのか窓に叩きつけられるような水滴ではなく、上から落ちてきた雫が伝っている。
このおかげで景色が見えるのだが。
黒板をちらりと確認する。そこまで進んでいない。
もう少し眺めていようかな、と窓ガラスに伝う水路を眺めることにする。
よく分からない所で枝分かれしたり、水量が足りなくてそれ以上進まなかったり。
風に吹かれてあらぬ方向に路線変更したり。
作られてあった水路の上を新しい水が伝っていったり。
なんだかなぁ。
人の人生とはこんなものなんだろう。地球からすれば。
私が雨とはこんなものなんだろう、と思うように。
ほんと、くだらなくて、ちっぽけで。
どうにもならない人生。
雨なら蒸発して無くなるし。
それでも、留まれなくて。
人生は川のようでもあるだろうけど、雨のようだと私は思う。
巡り巡って戻ってくる。
最初とはまったく別の物になって。
…川も同じかぁ。
と、いうか川って雨から出来てるんだよなぁ。
…でも、なんとなく表現するなら雨の方がいいんだよなぁ。
実際は酸性で何処の何かとも知れぬ不明な成分が混じってるんだろうけど。
アルカリ性の雨もそのうち降るんじゃない?
なんて考えて、黒板にある文字の羅列をノートに写す作業に戻る。
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「起りーつ。礼。」
ガタガタと椅子を鳴らしながら立ち上がって礼をする。
座ろうと机に手を置いた所で、ふと開いたままのノートにかかる光の量が多い事に気づく。
顔をを窓の外に向ける。
あ、雨やんだ。
雲の切れ目から見える青空。所々に差し込む陽の光。
思わず空を見上げて目を細める。
そのワンシーンを見ていたクラスメイトは同様に思ったであろう。綺麗だと。
傍からみた彼女の横顔は思わず見とれてしまうほど。
差し込んできた淡い光が彼女をふんわりと照らす。
背景は雲の切れ目から差し込む光と僅かに見える青空。
彼女は無自覚系美少女である。
まさか、自分みたいな奴が周りから可愛いなんて思われる筈がないという人物なのだ。
クラスメイトの悩みの種でもある。
話を戻すが。
残念な事に、彼女が目を細めた理由は不機嫌になったからであった。
……頭痛いから、あんまりコロコロと天気変わって欲しくないんだよねぇ。
まったく、これだから偏頭痛持ちは辛い。
やれやれ、と溜息をついて椅子に座る。
そんな彼女と彼女を見ていたクラスメイト達のある日常のひとコマ。
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