搾取されないために
さて、これまで様々な『空気や日光の所有権を主張する人々』を考察してきました。
このエッセーでは取り上げませんでしたが、たとえば食料、エネルギー、マスメディアについても、独占している組織や人は『空気や日光の所有権を主張する人々』なのです。
みなさんも考えてみてください。
支配階層が被支配階層を支配する方法は大きく分けて三つあります。
第一が武力や軍事力です。
第二が生活必需物資を支配階層側で独占してしまうことです。
そして第三がマスメディアを使ったプロパガンダで被支配階層を洗脳することです。
ここで言う支配者階層は国家、被支配者階層は人民と考えるとわかりやすいですが、あえて支配者階層という言葉を使ったのは、巨大金融資本が政府を操っている場合を考慮したからです。
また国家と人民だけでなく、覇権国家と従属国家といったように国家間の従属関係にも当てはまると思います(第三は除いて?)。
ところで私たちはどうしたら『空気や日光の所有権を主張する人々』からの搾取を免れることができるのでしょうか。
金融資本主義がだめならば、共産主義がいいのでしょうか。
長くなるので説明は省きますが、結論から言いますと、共産主義も問題があります。
従来型資本主義でも共産主義でもない、新しいイデオロギーを考える必要があるのです。
ネットで様々なブロガーが通貨発行権を国有化することが解決だと述べています。
これも一つの回答ですが、私はそれ以外の方法についても考察してみました。
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①生活必需物資の自給力を増やし、貨幣経済の依存度を減らす
小規模な兼業農家を考えてみましょう。
人口を都会から地方へ移動させ、兼業農家を人口の中心にします。
農地にしては狭く、自宅の庭にしては広い土地に農作物を栽培します。
この農作物は基本的に自分と家族が食べるためのもので、余ったら販売します。
同様に庭にガレージ程度の工場を作り、工業製品の一部を自給、一部を販売します。
これにより、貨幣経済の依存度を減らし、GDPは下がっても実質的な生活の豊かさは確保できます。
『空気や日光の所有権を主張する人々』からすれば、私たちから富を搾取しづらくなります。
また販売する農作物や工業製品も地域振興券を使うなどして、地産地消を原則とすれば、富はさらに外部に流出しづらくなります。
②自給を支援する科学技術を行政主導で研究開発
テレビメーカーは大画面平面テレビを家庭に普及させた後、行政主導で3Dや4Kのテレビを開発しています。
しかし消費者としては、3Dや4Kはどうでもいいのではないでしょうか。
もっと国民を直接、幸福にさせる技術をメーカーは研究開発すべきでしょう。
①の生活を現実的に実現させるべく、一人用の農業機械、工業機械を開発し、生産効率は低くても安全性の高い技術を開発すれば、私たちは様々な生活必需物資を生産できるようになります。
③個人、世帯で自給できない部分は、基礎自治体内での自給を目指す
とは言え、個人や家族で生活必需物資のすべてを自給するには無理があります。
もし石器時代の生活水準でいいなら完全な自給自足は可能でしょうが、現在の生活水準を大きく落とすことなく自給率を高めたいものです。
また農地を持たない都市部の住民を考えれば、なおさら高い自給率は望めません。
そこで市町村の基礎自治体内で高い自給率を目指すのです。つまりできるだけ生活必需物資に関する全産業を一つの市町村内に持たせ、そこの住民がそれを消費するのです(つまり、娯楽や贅沢品に関する産業はなくても構いません)。
国は地方へ大幅に権限と予算を移譲し、外交防衛に特化します。
④基礎自治体を直接民主制に
ただしここで注意しなくてはならないのは、市町村が大きな権限を得た結果、市民が市町村に隷属してしまうことです。
これを防ぐには市町村の行政を直接民主制にするのがいいでしょう。
市民が当番制で市議会議員になり、市町村の予算を管理し、公務員が無駄な箱物の建設や、無駄なイベントを開催しないようチェックします。
また市民が都市計画に参画します。
もしあなたが、自宅から歩いて行ける駅のロータリーに飾る彫刻を、自分の趣味で自由に選べたら面白いと思いませんか?