序にかえて
さて、もし私が、地球上のすべての空気は私の私有物です、と宣言したらどうでしょう。
呼吸をする人は、空気代として私に月々1000円払ってください。払わない人は息をしてはいけません。
私がこんなことを主張したら、あなたは怒り心頭でしょう。
でも各国政府が私に空気の私有権を認め、空気代を払わないで呼吸している人を逮捕し始めたら、私は大儲けできるはずです。
同様に私が太陽の私有権を主張したとします。
日光を浴びる人は、日光代として私に月々1000円払って下さい。払わないで日光を浴びた人は警察に逮捕されます。
こんなふうに私が主張したとします。
今度は空気とちがい、あなたは一日中、地下室にこもっていれば、日光代は免れるかもしれません。
でも、いずれにせよ私は大儲けできるでしょうし、どちらの場合も極めて悪質なビジネスと言わざるを得ません。
荒唐無稽なお話のように思えるかもしれませんが、よく考えるとこれと同じくらい悪質なビジネスで大儲けしている人や組織がこの世にはいるのです。
そして彼らのうちの何人かは、おそらく空気や日光の使用料を私たちから巻き上げられないか画策したことがある、と私は確信しています。
これから、「空気や日光の所有権を主張する人々」について考察していきます。