邪魔者は・・・
「・・・撒いたか」
建物の上で一休みする。
「まったく。あの子供はなぜ余について来る。・・・む?」
「・・・・・・」
「・・・まさかここまでついて来るとはな」
下を見下ろすと子供が辺りを探し回っていた。
「観光を楽しみたいというのに・・・」
これではゆっくり出来ないな。
「・・・殺すか?」
あの子供を殺せばゆっくり出来る。
だが、殺した後に観光ってのも嫌だな。
「・・・ならば」
考えが纏り、建物から飛び降りた。
「・・・・・・」
少女が魔王に気づき近づいてくる。
魔王はそのまま気づかない振りをして狭い路地に向かって行った。
その後を少女も追った。
しばらく歩き続け、少し開けた場所に移った。
「・・・ここらでいいか」
魔王は立ち止まった。
そして、その後ろに少女がついて来ている。
魔王は振り返る。
「なぜついてくる」
「・・・・・・」
「確かにどこへでも行けとは言ったが、余について来いとは言ってないぞ」
「・・・・・・」
「何が目的だ」
「・・・・・・」
「金か?食い物か?」
「・・・・・・」
少女は首を振って否定をした。
「では、何だ?」
「・・・・・・」
少女は魔王に近づき抱きついた。
「・・・なぜ抱きつく」
「・・・・・・」
「何か言わんか」
そういうと、少女は魔王に顔を向け口を開いた。
「・・・・・・」
しかし、何も聞こえない。
「お前。話せないのか?」
「・・・・・・」
黙って頷いた。
「・・・そうか。それは好都合だ」
「・・・・・・」
「お前は魔王知っているか?」
―――コクリ―――
「その魔王がどんな奴かは知ってるか?」
―――ブンブン―――
「教えてほしいか?」
「・・・・・・」
―――コクリ―――
「・・・見つけたぞ」
「・・・何か用か?」
少女の後ろに複数の男達が来た。
その中には先ほどの男もいた。
「さっきはよくもやってくれたな!!」
「まだ余に挑むか。見上げた根性だな」
「うるせぇ!!さっきの借り返してやる!!」
男達は武器を持って近づく。
「・・・一人で勝てないから数か。判断としては間違ってないな」
「お前ら!殺すなよ。捕まえて商品にするからな!!・・・動けなくしろ!」
その声を合図に一斉に襲い掛かってくる。
「・・・お前は下がっていろ」
「・・・・・・」
魔王の言葉を聞き少女は後ろに隠れた。
一人の男が魔王の腕に向かって振り下ろす。
魔王は避ける事をせず受け止める。
二人の男が脚を狙う。
これも受け止める。
最後の男が頭に振り下ろす。
受け止める。
『・・・・・・』
「・・・・・・どうした?もう終わりか?」
「・・・うそ・・・だろ」
「全く効いてないぞ・・・」
「こいつ、人間か・・・」
男達は手加減をしたわけでもなく、全力で折にきていた。
それなのに、傷や痣が一つもなく無傷の状態で立っている。
それが一層気味悪さを引き立てていた。
「遠慮するな。もっとこい」
『・・・・・・』
そして、この言葉でさらに気味悪さが上がった。
後ずさりし始める男達。
「もうお終いか。つまらん。・・・おい子供」
「・・・・・・」
「さっき魔王を教えてやると言ったな」
―――コクリ―――
「目の前にいるのがそうだ」
「・・・・・・」
「その力を見て恐怖するがいい」
魔王は後ずさりする男達へとゆっくりと歩き始めた。
「て、てめぇら!!相手は女一人なんだ!!ビビッてねぇで立ち向かえ!!」
『う、うおおおおぉぉぉーーーー!!!』