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魔王と少女の物語  作者: 春
4/9

邪魔者は・・・

「・・・撒いたか」


建物の上で一休みする。


「まったく。あの子供はなぜ余について来る。・・・む?」


「・・・・・・」


「・・・まさかここまでついて来るとはな」


下を見下ろすと子供が辺りを探し回っていた。


「観光を楽しみたいというのに・・・」


これではゆっくり出来ないな。


「・・・殺すか?」


あの子供を殺せばゆっくり出来る。


だが、殺した後に観光ってのも嫌だな。


「・・・ならば」


考えが纏り、建物から飛び降りた。


「・・・・・・」


少女が魔王に気づき近づいてくる。


魔王はそのまま気づかない振りをして狭い路地に向かって行った。


その後を少女も追った。


しばらく歩き続け、少し開けた場所に移った。


「・・・ここらでいいか」


魔王は立ち止まった。


そして、その後ろに少女がついて来ている。


魔王は振り返る。


「なぜついてくる」


「・・・・・・」


「確かにどこへでも行けとは言ったが、余について来いとは言ってないぞ」


「・・・・・・」


「何が目的だ」


「・・・・・・」


「金か?食い物か?」


「・・・・・・」


少女は首を振って否定をした。


「では、何だ?」


「・・・・・・」


少女は魔王に近づき抱きついた。


「・・・なぜ抱きつく」


「・・・・・・」


「何か言わんか」


そういうと、少女は魔王に顔を向け口を開いた。


「・・・・・・」


しかし、何も聞こえない。


「お前。話せないのか?」


「・・・・・・」


黙って頷いた。


「・・・そうか。それは好都合だ」


「・・・・・・」


「お前は魔王知っているか?」


―――コクリ―――


「その魔王がどんな奴かは知ってるか?」


―――ブンブン―――


「教えてほしいか?」


「・・・・・・」


―――コクリ―――


「・・・見つけたぞ」


「・・・何か用か?」


少女の後ろに複数の男達が来た。


その中には先ほどの男もいた。


「さっきはよくもやってくれたな!!」


「まだ余に挑むか。見上げた根性だな」


「うるせぇ!!さっきの借り返してやる!!」


男達は武器を持って近づく。


「・・・一人で勝てないから数か。判断としては間違ってないな」


「お前ら!殺すなよ。捕まえて商品にするからな!!・・・動けなくしろ!」


その声を合図に一斉に襲い掛かってくる。


「・・・お前は下がっていろ」


「・・・・・・」


魔王の言葉を聞き少女は後ろに隠れた。


一人の男が魔王の腕に向かって振り下ろす。


魔王は避ける事をせず受け止める。


二人の男が脚を狙う。


これも受け止める。


最後の男が頭に振り下ろす。


受け止める。


『・・・・・・』


「・・・・・・どうした?もう終わりか?」


「・・・うそ・・・だろ」


「全く効いてないぞ・・・」


「こいつ、人間か・・・」


男達は手加減をしたわけでもなく、全力で折にきていた。


それなのに、傷や痣が一つもなく無傷の状態で立っている。


それが一層気味悪さを引き立てていた。


「遠慮するな。もっとこい」


『・・・・・・』


そして、この言葉でさらに気味悪さが上がった。


後ずさりし始める男達。


「もうお終いか。つまらん。・・・おい子供」


「・・・・・・」


「さっき魔王を教えてやると言ったな」


―――コクリ―――


「目の前にいるのがそうだ」


「・・・・・・」


「その力を見て恐怖するがいい」


魔王は後ずさりする男達へとゆっくりと歩き始めた。


「て、てめぇら!!相手は女一人なんだ!!ビビッてねぇで立ち向かえ!!」


『う、うおおおおぉぉぉーーーー!!!』

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