プロローグ
おじさんが主人公だっていいじゃないか。
そんなわけでおじさんが主役です。
ちょいと世界観が謎ではありますが、頑張って書きたいと思います。
暇でしたら是非どうぞ。
(もう何度目の死刑執行日なんだ、これ。)
断頭台の上で、男はそう思う。
まるで錆びたような赤茶色のもさもさの髪、人差し指くらいの長さの同じ色の髭。
そして真っ黒な瞳。そんな男だった。
しかし、男は執行をする人間ではなく、される側であった。
「えー、これよりー、重罪人エイディ・ラウンのー、243回目の死刑執行をおこなーう。」
あまりやる気のないような死刑宣言が行われ、見に来ている野次馬達は盛り上がる。
手に紙幣を握りしめている者もいれば、死ぬか生きるか、と書かれたプレートを持った者もいる。
そんな野次馬の視線を独占するのは、断頭台の上の男だった。
「俺は見世物じゃねぇぞ。」
男がぼそっと言うも、野次馬達には届いていないようだった。
数多の命を奪ってきたであろう刃が、限界の位置まで引き上げられ始める。
(しかし、もう243回目なのか。俺も老けたもんだな。)
ぼーっとそんなことを考える男。
男の首を切り落とす予定の刃は、限界まで引き上げられた。
「早く死にてぇな。」
ふと男が笑い、野次馬が見守る中、断頭台の刃は落とされる。
…そして男は、”また”死ねなかった。
更新速度は鈍足です。よろしくお願いします。