オーク虎馬のオーク退治
オークの報償金を直しました
拝啓、親父様。
貴方の息子は対して親孝行も出来ないうちに胡散臭い天使に連れ去れて異世界なんて所に来てしまいました。
でも、俺は貴方の教えが正しかったと異世界で痛感しています。
「新しく出会う人や物は人の噂を信じないで自分の5感で判断しろ」
料理人は素材を他人がうまいと言ったり不味いと言ったから鵜呑みにするんじゃなく自分で料理して味わってから判断しろって言う親父の教え。
それは人もそうだし…魔物もそうだった。
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オーク退治をする事にした俺はロークと一緒にオーク被害が多発してると言う畑に向かった。
なんでもオークは畑を荒らす害獣ならぬ害魔物らしい。
この時点で俺はオークを豚みたいなゴブリンと勝手に思い込んでいた。
広大な畑は何故か2m近い高さの塀に囲まれていた。
「ローク、このでかい畑からどうやってオークを見つけるんだ?へぇ、良い土だな。これは料理しがいがある野菜が育つ」
何時もの癖で畑の土を触って確かめる。
「良い野菜が出来る畑だからオークに狙われるんだぜ。奴さん猪の癖にグルメなんだ…ほら、あそこでお食事中だぜ」
ロークの指差す先には茶色い大きな固まりが見えた。
それより猪?
「ローク、オークの事を詳しく教えてくれ」
どうやら、魔物の名前だけで、どんな奴か判断するのは危険らしい。
「オークは擬人化のレアスキルを授けられた王が猪を擬人化させて出来た魔物なんだよ。だから他の人族と違い獣に近くて道具も使わないし服も身につけていねぇ。だけど身体はでかくて力もあるぜ」
擬人化のスキルなんて覚えれたら狂喜乱舞する日本人は沢山いるだろうたな。
「身体のでかさと腕の長さはどれ位なんだ?」
「でかさは2mを越えるのが殆どだ、だけど腕は短いぜ。懐に入られたらお終いだ」
猪自体手足が短いから、それを引き継いだんだろう。
「分かった、後はご対面してからだな」
徐々に近付いて行くがオークは俺達に無関心な様で一生懸命に畑を荒らしている。
いや、人なんて警戒に値しないと思ってるのもかもしれない。
「トラ、どうするんだ?」
どうするもこうするも俺はロークの戦い方を見た事がない。
「俺が奴の動きを止める。止めはロークがさしてくれ。先ずは塀側から近付いてく」
近くに来るとオークは中々の迫力で、後ろ姿だけを見たら熊にも見える。
先ずは俺は足元に転がっている石を思いっきりオークに投げつけた。
食事の邪魔をされたオークは苛立たし気に立ち上がり不機嫌な様子で俺達を見下ろす。
そのでかい鼻穴からは、物凄い勢いで鼻息が吹き出ている。
(二足歩行になって余計な物を吸い込まない様に鼻穴が斜め下を向いたんだな。これならいける)
俺が狙うのはオークの鼻穴、そこ目掛けて棒を思いっきり突き上げる。
棒はズボッと音が聞こえてきそうなぐらいに勢い良くオークの鼻に納まった。
それがよほど不快らしくオークは短い手を俺には向かって降り下ろしてくるが、鼻に刺さった棒が邪魔をして俺に近付けない。
俺を殴ろうとオークは一歩踏み込む、それにあわせて俺も下がる。
それを数回繰り返した。
「トラ、後ろは塀だぞ。…この馬鹿野郎が!!」
ロークが腹だたしげに剣を抜く、それは使い込まれているがきちんと手入れがされた大剣でロークの腕を保証していた。
「教えてやるよ、鼻穴って息をする為の物だから骨がないんだよ。だから」
俺は棒の端を塀にあてがう。
そして逃げ場がなくなった俺に対してオークは拳を降り下ろす。
次の瞬間、棒はオークの鼻を突き抜けて頭の中に深く突き刺さっていた。
「ローク、止めを頼む。この巨体でもがいて暴れられたらヤバいから」
「相変わらずえげつない戦い方をしてくれちゃて。これだけ大人しくなったオークなら餓鬼でも止めをさせるっての」
ロークが大剣を煌めかせるとオークの首がドサリと畑に落ちた。
「これで8万か。所でオークって食えるのか?」
味噌がないからボタン鍋は無理だけど元が猪なら食える筈。
「傷も少ないし、毛皮も売れるぜ。俺はギルドに報告に行ってくる」
豚カツならぬオークカツに、焼豚ならぬ焼オーク、オークハムにオークベーコン、オークのトマト煮込み…料理人の腕がなるぜ
そういや、ルーチェはカツサンドが好きだったよな。
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アルバ某所
私はある尊きお方に仕えているのですが、この方にはある困った癖があります。
「ルーチェ様、書類に先輩とかトラマとか書くのは止めてください」
「お、お前先輩を呼び捨てにしたな…俺の知らない間に虎馬先輩とそんな仲になってたのか!!」
ルーチェ様はこれだけで既に涙目になられております。
普段は凛としたお方なのに異世界に残して来た恋人を思い出すと弱りきってしまうんですよ。
いつかルーチェ様とトラマ様が会える日が来ると良いのですが、トラマ様は遠い異世界におられます。
2人が再会するのは、近い日か遠い未来か、はたまたお互い同じ世界にいる事に気付かずに会えないのか。