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親友のしめす先

 プロテクションフロッグを連れて来た土地は何もない土地だった。

 あるのは湿地と湖、そして何百匹ものプロテクションフロッグ。

 俺達が連れて来たプロテクションフロッグも、仲間に会えたのが嬉しいらしく大声で鳴いている。

 正直、騒音レベルだったりする。


「カエル君、随分と嬉しそうじゃないか。あのカエル、ビョン吉って呼ぼうかな。もしくはゲロッピとか」


「ザコ、どっちの名前もギリだから。どこかの国にある黄色い機動戦士レベルじゃん」

 

「大丈夫、プロテクションフロッグは黄色くないし、シャツに納まる大きさじゃない…トラ、頭に丸い眼鏡を掛けてみないか?」


「アウトー、それ以上はやばすぎる!!若い子には分からないネタだけどアウトだって」


「メリー、昨日飲み過ぎたからリュックから緑のビンを出して」


「ダメ、それ今の若い子にも分かるから」

 久しぶりの親友との馬鹿なやりとりが懐かしくて嬉しい。


「トンマ、少しは落ち着いたみたいだな。さて、これからが本題だ。ロキ神様からの伝言を伝える。お前には幾つかの選択肢がある。先ずはルーチェさんと契約をして天界で暮らすパターン、メリットは二人で平和に暮らせる事、デメリットはヒモ状態で生き甲斐がないまま五百年生きなきゃいけない。次に日本に戻るパターン、ロキ神様がガイアと日本の道を繋げてくれるからルーチェさんと別れなくてもいい。メリットは料理人として生きれる事。デメリットはルーチェさんが何百年間寂しい思いをする」

 一長一短選び様がない、どっちを選んでもうまくいきそうにない。


「まあ、今の二つは選ばないと思う。これから言うのが大事だからよく聞け。まずはお互いの記憶を消す、これなら二人共、今までの生活をするだけだ。そして最後は無人の土地を一から開拓する。そしてお前はスキルなしの生活を教えていけば良い、ルーチェさんはそこの家から天界に通えば良い。デメリットはとんでもなく苦労するって事かな。最初のうちは自給自足になるし」


「開拓って、人はどうするんだよ?」

 

「俺が何の為に、ロークさんを目立たせたり天使を大勢呼んだか分からねえのか?まずはウムヌーイ公爵家の住人から希望者を募る。さらに天使の信者の中から無罪でスキル切りされた人に声を掛けるんだよ。お互いに技術を教え合えば開拓もなんとかなるだろ?開拓の頭はロークさんにすりゃウムヌーイ公爵の住人もスキル切りされた人達も不満はないと思う」

 確かにロークにならウムヌーイ公爵領の住人も従うし、守護天使から見放されたロークにならスキル切りされた人も従うだろう。


「ロークの意思を確かめないと」


「なに言ってんだよ?公爵家の跡継ぎの弟の面目を潰したんだぜ。普通は国内にはいられなくなるさ。それに後の二人も領主の息子に逆恨みされると思うぜ。さしずめロスト君は農業指導担当だな」

 ザコの奴、どこまで計画を建ててきたんだ?


「ローク、ロスト君どうする?」


「どうするもこうするも選択肢がないだろうが。トラ、お前のダチは何者なんだよ。天使様まで利用するなんてよ。ザイツ、一つ聞いて良いか?当面の食糧や道具はどうするんだ?当てはあるのか」

 畑を作っても直ぐに作物は実らないし、道具がなきゃ小屋も畑を作れない。


「当てならあるんすよ。ロークさんのご実家に協力してもらえばいいんすよ。名目は開拓支援費って事で」


「お前、貴族を知らないだろ?彼奴等は自分達が得にならない事には金を出さないぜ」

 ロスト君絡みだからミリアさんも議論に参加する。


「協力するっすよ、しなきゃ天使と結託してプロテクションフロッグを起こした事がばれるんすから。ちなみに君達の領地にも協力してもらうっすよ。何せ、トラは可愛い息子の命を助けた恩人なんすから」

 確かにミリアさんを助け時に、カローナエッジ子爵の子息ゲーニーも無罪になった。

 なったが…


「ザコ、こえーよ。何、その用意周到な計画は?」


「そんなに誉めるなって。後ついでにお前が浮気をした時の対処方法をメリー伝えでルーチェさんに教えといたから」

 浮気をする気は最初からないが気になる。


「何を教えたんだ?」


「女性天使の皆様に陪審員になってもらうんだよ」


「有罪確定じゃん!!浮気はしないから良いけど何その怖い制度?」


「お前とルーチェさんには開拓地の見本的な夫婦になってもらうんだよ。出番のない制度でも周りへの脅しにはなるからな。そうすりゃハーレムや娼舘なんて事も考えないだろ?少なくとも、お前が生きてる五百年はさ」

 久しぶりにあった親友(ざこ)は恐ろしく腹黒く、とんでもなく頼りになり奴になっていた。

 そんな時、一つの影が俺達に近づいて来た。


「そこの醜い二人の猿人達!!お前達の所為で私はイスラ様に」「シールドボール&ライトウェポン」

 ゲイルは出てきたと同時に透明な球に包まれていた。

 球の中にはザコか入れた皮袋が一つ。


「トンマ、久しぶりにボーリングをしねえか?目指すはプロテクションフロッグの群れの中。ろくでもないスタートだった異世界生活にけりがつくぜ」


「出せ、出さないか!!わ、私の法術が効かない?出して下さい!!カエルはもう嫌なんです!!」

 ゲイルの入った球を思いっきり転がす。


「ストライーク!!&マジックキャンセル」


 結果、ゲイルはプロテクションフロッグの群れの中には一人ぼっち。


「た、助けて下さい。何でもしますから助けて下さい」

 ゲイルの悲痛な叫びにみんなドン引きしている…約一名を除いては。


「ルーチェさんか誰か契約の証人になってもらえるっすか?」


「ざ、ザイツ先輩分かったよ。アトランジェ頼む」


「ル、ルーチェ様、私はあの猿人の男が怖いです。何ですか、あの腹黒さは?」


  天界住まいのアトランジェさんは涙目になっている


「それじゃ食糧や道具を運搬する仕事をして欲しいっす。足元にある皮袋にはカエル避けの魔法の粉が入ってるからそれを全身に掛ければ良いっすよ」


「ザコ、魔法の粉ってなんだよ?」


「お前に用意してもらった唐辛子だよ。カエルでも舐めて危険なら食わないだろ?」

 ゲイルはイスラにボコボコにされた生傷がまだ治ってない訳で…結果、プロテクションフロッグの鳴き声を上回る叫び声が湿地に響いた。

トラマも残り一話です。

今日、明日で書くかも

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