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ブサメン道、訓

ブサメン道、訓覚えている人はいますか?

 その日、ロスト少年は目に見えて落ち込んでいた。

 深い溜め息は何度も漏らすし、何もない所で転んだり気が付けば俯いていたりと心ここに在らずである。


「ロスト、何があったんだ?話をすれば楽になる事もあるぜ」

 ロークも気になったらしく休憩時間にロスト少年に声を掛けていた。


「ありがとうございます。ロークさんかトラマさんの知り合いで山菜調理スキルを持っている人はいませんか?」

ロスト少年は真剣な眼差しで俺達を見ている。

 山菜調理スキルって、そんな細かい所まで分けてんのか。


「山菜調理スキルなんて好き好んで取る奴はいないだろ?山菜なんて草だぜ、草を食いたがる意味が分からないぜ」


「ですよね。いないですよね」

 呆れた様に笑うロークと力なく笑うロスト少年。

 しかし、聞き捨てならない。


「くぉら!!ローク、今、なんて言った!?山菜が草だぁ!!俺が山菜のフルコースを食わせて、そのふざけた価値観を糺してやる!!ロストさん、スキルは無くても山菜なら俺が料理してやる」


「トラマさん落ち着いて、突然どうしたんですか?」


「ロスト、これはトラの病気みてなもんだよ。気を付けろよ、前に”たかが料理”って言った盗賊に真っ赤に焼けた炭で文字通り焼きを入れたぐらいだからな」

 ロストの話を聞いたローク少年が明らかに引いた目で俺を見ていた。


「それでロストさん、何があったんですか?」


 問題の発端は例の空井戸坊っちゃん事ゲーニーが率いるパーティーが引き受けた依頼にあるらしい。

 依頼主はをウーズィーの町を治めゴーリェ男爵。

 ゲーニー坊っちゃんパーティーは食客としてゴーリェ男爵の屋敷に逗留していたらしい。


「あの坊っちゃん、領主の屋敷から娼館に来てたんですか?それにパーティーには女性もいるんですよね?心臓が強いと言うか面の皮が厚いと言うか」


「空井戸坊っちゃんの家は子爵家だから男爵も強く言えなかったんだろ?」

 ルーチェと別れて8年、未だに未練タラタラの俺とは大違い。


「ゴーリェ男爵の娘ペルシック様は美しいと評判の方なんですよ。ペルシック様が亡くなった母が作った山菜を食べたいって言ったそうです。ゲーニー様は快く引き受けて、その山菜を取って来たらしいんですけれど、その山菜を食べたゴーリェ男爵の愛馬が死んだらしく原因を調べたらゲーニー様が取って来た山菜だったらしいんです」


「はっ?なんで馬に食わせてんだ?」


「何でも分かりやすい山菜で大量に取れたから馬にも食べさせたらしいんですよ。流石にゴーリェ男爵もお怒りになりゲーニー様のご実家に連絡を入れたらゲーニーは勘当したから、当家に関係ないと返事が来たそうなんですよ」

実家にしてみれば、家の面汚しを放逐するチャンスと思ったんだろう。


「それで空井戸坊っちゃん達はどうなるんだ?」


「今は神殿に預けられていますが、良くて奴隷にされるか悪ければ死刑になるらしいんですよ。でもその山菜に毒がないって証明出来れば罪には問われないみたいなんです」

 素人でも大量に取れて馬が食べたら死ぬ山菜か…多分、あれだな。


「空井戸坊っちゃんが他の草と間違えたんじゃねえか?」


「それはないみたいです。その山菜はクラークって言うらしく特徴があって間違えない山菜みたいなんですよ」


「ローク、クラークってどんな意味か分かるか?」


「拳って意味だよ。トラ、なんか分かったのか?」

 拳か、確かにそう見えるよな。


「トラさん、お願いです。助けてもらえますせんか?」


「ロストさん、いやロスト君、君が助けたいのは空井戸坊っちゃんかい?それとも違う誰かなの?」


「…パーティーにはミリーもいるんです。ミリーは大切な幼馴染みなんですよ」

 きっとロスト君はミリーって娘が好きなんだろう。

 パーティーにいたって事は空井戸坊っちゃんのお手付きになっている可能性が高い、それでも助けたいと。


「分かった。ローク、一仕事するぞ…山菜料理か、テンションが上がって来たぜ」

 異世界で山菜のフルコースを作ってやる!!


「ありがとうございます。私は大盾のスキルを持っているから護衛します」


「ロストは大盾のスキル持ちか、俺の大剣スキルとの相性はバッチリだな」

 大盾も大剣も別にスキルはいらないと思うんだけど。


「よっし、とりあえず神殿にミリーさんを迎えに行こう。案内がいないと違う場所から取って来たなんて思われたら癪だからな」


「でも神殿が許しませんよ」


「大丈夫だよ、神殿にはコネがあるから」

 ブサメン道訓、ブサメンは恋お互いの恋を助け合うべし。

 …そうだよな、ザコ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


光の神殿


 今日の妄想はもし先輩がアルバに来たら。

 とりあえずイチャイチャしてデートをしてイチャイチャして、料理を作ってもらってイチャイチャして、一緒にお風呂に入ってイチャイチャして、キスをしてイチャイチャして、夜は思いっきりイチャイチャするんだっ!!


 そんなルーチェをアトランジェは哀しく見つめ2人の再会を心から祈っていた。

 敬愛するルーチェがこれ以上駄目にならない為にも。

 この後にルーチェは何時も泣いてしまうのを知っているから。

感想やお気に入り数は少ないのにリクエストは多い不思議な作品です。

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