護衛で新しい出会い
ウーズィーの街の第1印象は派手だった。
カラフルに染められたレンガに原色で書かれた看板。
何しろこの街の名物は賭博場に劇場、酒場…そして娼館。
ちなみに運営は全て神殿の下部組織がやっているらしい。
そして俺とロークは娼館の門の前にいた。
でも、中に入らない…護衛だから当たり前なんだけど。
「しっかし、どこの世界でもお偉いさんってのはスケベが多いんだな」
客として来たのは貴族に騎士…そして変装をした神官。
「お偉いさんしか来れないんだよ。知ってるか?ここ1泊すれば最低30万ゾロートは掛かるらしいぜ」
「ある所にはあるもんだね。だから依頼料が高いんだろうな」
何しろ1晩護衛すれば1人5万ゾロートの破格報酬。
「そりゃ、こんな場所に来ているのがバレたくないお方ばかりだからな。トラの紹介状がなきゃこんなうまい依頼を受けるのは無理だよ」
「トラさん、ロークさん見回り終わりましたよ」
「ロストさん、ありがとうございます」
俺達に話し掛けてきたのはまだ幼さが顔に残っている2m近い大男のロスト・チェスーチさん。
ロストさんは、この仕事の先輩にあたる。
「さん付けは止めて下さいよ。私の方が年下なんですから」
ロストさんの年は17才、生まれはウーズィーではないそうだ。
「仕事の先輩に敬語を使うのは当たり前ですよ」
このロスト少年は娼館の護衛をしているのが嘘の様に真面目で純情な性格の持ち主で、今じゃすっかり娼婦のお姉様方のアイドル兼おもちゃ。
「勘弁して下さいよ~。あっ、トラさんエミリーさんが軽く摘まめる物を作って欲しいそうです」
俺が夜食様に作ってきたサンドイッチをお裾分けして依頼、度々料理を頼まれている。
「それじゃ何か作って来るよ…っとその前にお客様が来たな」
…あれは馬鹿か?
現れたのは白馬に股がり銀色のフルアーマーを身につけた長髪の若い男。
(何で町中で鎧を着てるの?つうか絶対にお前は未成年だろ)
「うん?ロスト君じゃないか?こんな所で何をしてるんだい」
「ゲーニー様、私は護衛の仕事をしております」
「そうか、ここで働いていても君は僕の元パーティーメンバーだよ。頑張りたまえ」
ゲーニーとか言う男は無駄に爽やかな笑顔を残して娼館に消えて行った。
「なんだ、ありゃ?ロストさん知り合いですか?」
「ゲーニー・カロージェッツ、私の村の領主様の息子で前にいたパーティーのリーダーです」
「カロージェッツ?あれが有名なカロージェッツ子爵の空井戸坊っちゃんか?」
ロークは妙に納得した顔をしていた。
「ローク知り合いなのか?」
「何であんなのと知り合いでならなきゃいけないんだよ。カロージェッツは井戸って意味なんだけど長男のゲーニーは剣の腕はそこそこあるけど頭が残念だから空井戸坊っちゃんって呼ばれてんだよ。あれじゃ誰もゲーニー(天才)とは呼ばないぜ」
ロストさんの話によると空井戸坊っちゃんは勉強を嫌がり、ロストさんと幼馴染みの女の子とパーティーを組んで冒険者になったそうだ。
それなりに活躍をしてパーティーメンバーも増えたらしい…女の子限定だったらしいが。
ハーレムを目指したい空井戸坊っちゃんはロストさんが邪魔になり強引にパーティーから外したらしい。
パーティーから外されたロストさんは実家に仕送りをする為に護衛の仕事を始めたそうだ。
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光の神殿
計算でいくと今日はバレンタインだ。もしあのまま日本に残っていたらトラマ先輩は俺のチョコを照れ臭そうに受け取ってチョコより甘いキスをして…2人はチョコの様に甘く溶け合って。
よっし、次はパターンBの妄想をしよう!!
これで邪竜も怖くない!!




