HEAVY METAL 第3話 プロローグ
日本政府は度重なるネット犯罪撲滅の為にステラ部隊を結成した。チームは各地に散らばり各々の正義の為に戦っていた。
21世紀。世界はネット社会に浸かっていた。ある者は都合よく、またある者は不愉快な世界が広がっていた。仁義や絆はネット社会に追いやられていた。
それは架空の世界の話だった。
中華人民共和国。そこはハッカーこそが全てであり、数多くの情報はそこに流れていた。高い情報は高価で買い取りされる無法地帯。人はそんな無法地帯を裏社会と呼んでいた。勿論その裏社会を監視する機関が必要だった。それがステラ部隊の原点だった。
話は第2話からおおよそ20年前に遡る。
10月未明。中国は香港返還百周年に湧いていた。各地で爆竹と花火が舞い、連日お祭り騒ぎだった。混乱の中、香港はある不穏な動きがあった。
[準備は出来ているな?][ハイ。今や最強と名高い中国の軍事をジャックする。手始めに海軍にサイバー攻撃を仕掛けます。ご安心を][よろしい。我々とて目の敵なのだ。スパイも送っている。手筈は整っているのだ。後はタイミングだけ。
ネット社会。海軍のセキュリティーを目指す小隊があった。黒いステルス戦闘機。
[なんだ?あの編隊は?どこを目指している?][ココです。追尾しますか?][アア。念のためな]
[行くぞ!野郎共!一泡噴かせてやる!連中に!空爆開始!全弾撃ち込め!]
ズガガガガガッ。ダンダンダン。
[奴等め!何者だ!アメリカか?][セキュリティー。浸食80パーセント!持ちません!回線来ます!]
[中国海軍諸君。我々はサイバークロー。ネット社会の鴉。降伏せよ!我々の下部に志願する兵は受け入れる。働き口も提供しよう。今すぐ降伏せよ!]
[浸食率、残り10パーセント。限界です。ご命令を][大変な事態になった。今すぐ共産党党首、各員に連絡を。ネットクローとやら。連絡がしたい][ならぬ。鴉は闇に隠れ活動する。公にするにはまだ早い。タイムアップだ。朽ちるが良い。冥土の彼方に]
海軍セキュリティー崩壊。それはまだ誰も知らないネット社会で起きた惨劇だった。
[これで良い。次は海から地底を潜り陸を落とす。空も黙ってないだろう。動いた隙に空軍のセキュリティーを落とす][見事な戦略で][祝杯を用意しておけ。我々の野心が達成されたあかつきに余興をやろう。酒の肴は中国のピエロだ。敗者を眼下に酒を呑むのも悪くない。今日中に作戦に移るぞ。作戦コードネーム、レボリューション。革命だ]