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clone  作者: ゆうゆうぽんかん
学校生活
3/3

転校生

田沼の言葉が頭の中をぐるぐる回っている。


「うちのクラスに転校生が来るらしい」


「女の子らしいぜーー!かわいい子かなぁ!」


「お前の隣、席あいてるだろ?その子がくるかもしれないぜ?」


そのうえ、転校生がくるのは「明日だ!楽しみだろー!じゃあな!」だ。

その話をしたのは、昨日の「明日」、つまり今日だ。今日、そいつが来る。


「はあぁぁ…。」


深いため息をつきながら登校していると、


バシッ


「いてっ!」

「わはははは!昨日のしかえしだ!昨日は安西先生の話しただけでたたいてきただろ?だから今日は俺の番だ!!」

「ぁのー、どちらさまですか?」

「な…まさか、大親友であるこの俺を忘れてしまったのか!?忘れてしまったというのか?!?!?!たのむ、うそだといってくれぇぇぇ」

「冗談だ」

「あ…じょ、冗談か…」

「うん」

「よかったぁ。それで、今日はなんでそんなに暗い顔で歩いていたんだ?」

「ほっとけよーーーー…」

「あ!もしかして、転校生の件か?」

「ほっとけよーーーーーーーーーーーーー…」

「図星だな?」

「あぁ」

「とにかくっ!まずは自分から声をかけてみることっ!人間関係の基本だぞ」

「んーーー」

「話聞いてる?」

「んーーーーー」バシッ「いてっ!」

「ほら、もうガッコだぞ!気をひきしめてこーぜ!!」

「あぁ…」

「もう来てるかなあ?なあなあ?」

「何が?」

「転校生に決まってるじゃないかぁ!かわいい子かなぁ?」

「はいはい」

「あーー、もう我慢できない!先に教室行ってるからな!!」

「え…えっと…」

「うおおおー、転校生ーーー!!」

「ぁ…おいっ!」


だだだだだだだ…


走っていってしまった…。


「まったく、転校生が入ってくんのはホームルームのときだろうが…」





がらがらがらぽすっもくもく…

なんで俺のまわりに粉が舞ってるんだろう…

なんで扉と壁の間に黒板消しがはさまってたんだろう…

なんで頭の上に黒板消しが乗って…


「田沼ァァァ!!」

「ひっ」

「てめえの仕業か!?」

「ま、まて!落ち着け!な!?」

「で?どうなんだ?お前がやったのか?」

「許してくれよーーー、無邪気な子供のいたずらじゃないかーー」

「高3のヤツのどこが無邪気な子供なんだよ!来年はもう社会人じゃねえか!!」

「な、なにをすればゆるしてくれる??」

「そうだな…よし!」

「?」

「一発殴らせろ」

「なっ…勘弁してくれ!!他の!他の選択肢は!?」

「じゃあ、クリーニング代」

「へ?」

「制服のクリーニング代よこせ」

「な…」

「まあ、後ででいいよ」

「あーあ…いたずらしなきゃよかった…」


まったく…いたずら坊主め。

荷物を手早くロッカ-に入れて、教室を出る。廊下を抜け、階段を上り、重厚な扉を開けると…

屋上だ。広い、フェンスに囲まれた、なにもない屋上。

見上げれば、空と、雲と、太陽がひろがる、屋上。

屋上が、好きだ。自由で、開放的な感じとか、陽があたってぽかぽかしてるとことか。

フェンスにもたれかかって、空を見る。


「そうだ」


制服の上着を脱ぐ。やっぱり、黒板消しの粉が付いていた。

軽く払って、また着る。そして、またフェンスにもたれかかって、空を見る。

今日は雲がすくないな…。ずっと晴れだろうな…


キーンコーンカーンコーン


予鈴が鳴った。そろそろ教室に戻るか。





ホームルームが始まった。


「忘れてた…」


今日は、昨日の明日。転校生が来る日。


「おーい夕凪。入っていいぞ。」


入ってきた女子は、髪が長くて、落ち着いた感じだ。そして…

美人だ。


「夕凪玲です。よろしくお願いします。」

「じゃあ、夕凪は安藤の隣、そのあいてる席だ、そこに座るように。」

「はい」


田沼のいう通り、俺の隣に、転校生が座った。


「よろしく」

「よろしくお願いします」


それっきり、ホームルームの間は何も話さなかった。



「なあーー、せっかく隣になったんだから、もっと話さないとだめだぞ?」

「なんか緊張しっぱなしだったから、ちょっと外の空気すってくるわ。」

「なんだよーー。あ、玲ちゃん?俺田沼っていうんだけどさ!これからよろしく!」

「あ、こちらこそよろしくお願いします」


そんな会話を聞き流しながら、屋上に向かう。

フェンスにもたれて、空を眺める。


「ふう。」


転校生でどうなることかと思ったが、どうやら大丈夫そうだ。


がちゃ


「ん?」

「あ…」


なんで…ここに…


転校生が、くるんだ?


長くなりました、すみません。

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